先日NHK BS1で放送された『cool Japan』や、以前からも民放各局でも取り上げられたきた昭和レトロ歌謡。
昭和世代に親しまれているのは当然だが、最近は若者や外国人にも大人気なのだとか。
なぜ若者や外国人にも昭和レトロ歌謡はウケているのか?
「知らない曲=新しい曲」
現在のJ-POPは、かつてからあったニューミュージックや歌謡曲が土台となっている。
しかし、J-POPは、アップテンポの曲調だったり、耳にすぐ残るようなメロディラインの曲が少なかったり、等々、様々な要因で似たり寄ったりの曲に聴こえかねない現状があるようだ。
そんな現状に満足しない若者の何割かが、かつての高度経済成長期に流行った曲を、親経由なのか祖父・祖母経由なのか知らないが、たまたま接する機会があり、聴いてみたところ新鮮に感じ、それが若者の昭和レトロ歌謡人気に火が点いたきっかけとなった。
すでに以前から存在している曲にもかかわらず、その存在を知らなかったばかりに、古い曲でも知らなければ、新しく感じ、つまり「知らない曲=新しい曲」と現代の若者は捉えたのだ。
最も活気のあった日本の高度経済成長期を反映した昭和レトロ歌謡
これまでに昭和レトロ歌謡を取り上げた数々の番組内でも言及されていたが、昭和レトロ歌謡が全盛だった頃の昭和30年代後半~バブル期手前くらいまでの昭和期は、最も日本が上り調子で、希望に満ちて活気のあった時代だった。
それゆえに、その時代の曲も世相を反映し、明るい曲調だったり、前向きな歌詞・曲調だったり、余裕感のあるリズムだったり、耳に残りやすいメロディラインだったり、そんな曲が多かったのだ。
欧米に追いつけ、追い越せで、ひたすら働き蟻のように働いた当時の日本人を癒やすために、解放するために必要だったアイテムの1つが、昭和レトロ歌謡だったのではないだろうか。
外国人にもウケている昭和レトロ歌謡
そんな当時の日本人にもてはやされ、消化されてきた昭和レトロ歌謡だが、最近では外国人にもウケており、高評価を得ている。
米国のジャズオーケストラ「ピンク・マルティーニ」のリーダー、トーマス・ローダーデールが、ポートランドの古いレコードショップで『夜明けのスキャット』を”ジャケ買い”したことから見出され、最終的には彼らとコラボするまでになった由紀さおりさんの例は記憶に新しい。
そのような、中古レコード屋で日本の昭和レトロ歌謡のレコード盤を手に取り、ハマってしまった外国人は、今や増加傾向なのだ。
その人気の理由とは、やはり世界各国の音楽が流入したことで、そうした芳醇な音楽環境から日本独自の曲が進化・発達したことが挙げられよう。
外国人DJにより開催、『Showa Kayo Night』
通常のロックやJ-POP、フォーク、歌謡曲、演歌ならば、コンサートやライブがあるが、昭和レトロ歌謡を体感するには?
その疑問の答えが、渋谷区宇田川町にある『リズム・カフェ』だ。
この『リズム・カフェ』では頻繁に『Showa Kayo Night』が開催されている。
驚くべきことに、『Showa Kayo Night』の主催者は外国人DJの方なのだ。
この方、米国人のジャスティンさんも、日本の中古レコード屋で”ジャケ買い”した黛ジュンさんのレコードがきっかけで、昭和レトロ歌謡へとハマってしまったのだという。
この『Showa Kayo Night』には、様々な年齢層や人種が集結し、聴くだけの人もいれば、聴きながら自然と曲に身体を委ねたり、踊る人もいる。
実に心地よさそうな空間のようなので、筆者も一度は足を運びたいものだ。
■Showa Kayo Night
https://showakayonight.com/