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苫小牧市の観光親善大使でもある「ハスカップレディ」、6月4日まで募集中!【連載:アキラの着目】

新型コロナウイルスの影響で、例年ならば毎年開催されていたイベントや慣わしが中止になっていることもある2021年。

各地方自治体が募集している「ミス●●」や「■■観光大使」も2021年に限っては募集を中止にしているところもあったりするのだが、北海道苫小牧市は例年通りに「ハスカップレディ」を募集中だ。

ハスカップとは、このニッポンニュースでも度々触れてきたが、和名は「クロミノウグイスカグラ」(スイカズラ科スイカズラ属)といい、日本国内では北海道にしか自生しない果物で爽やかな酸味が特徴だ。

アイヌ語の「ハシカプ」(「枝のうえにたくさんなるもの」という意味)から「ハスカップ」という名称になったとのことだ。

苫小牧を中心とする勇払原野でこのハスカップが多く自生していることから、苫小牧市はそのハスカップの名を借りた「ハスカップレディ」を毎年公募しているのだ。

「ハスカップレディ」は苫小牧市の観光親善大使も兼ねており、苫小牧市内外の交流や他都市での観光キャンペーン、各種イベントやメディア等を通じて苫小牧を広く宣伝するのが主な公務だ。

2019ハスカップレディ 苫小牧市観光情報 公式サイトから引用
2019ハスカップレディ
苫小牧市観光情報 公式サイトから引用

具体的には以下の公務(年間30回程度)がある(2019年の例を列挙)。

◆とまこまい港まつり(8月)

ハスカップレディの初仕事で、ステージでのお披露目や市民踊りパレードで華々しいデビューを飾る

◆イースタンリーグ 日本ハム VS 千葉ロッテ(8月)

とましんスタジアムでのイースタン・リーグ「日本ハム VS 千葉ロッテ」戦でユニフォーム引換えの手伝いと試合前のセレモニーで両チームへ花束を贈呈

◆練習船「海王丸」歓迎訪船(8月)

練習船「海王丸」の入港を記念したセレモニーで船長と機関長へ花束を贈呈

◆広報「とまこまい」の取材&マナー研修(8月・9月)

市内観光施設等を見学し、広報「とまこまい」の取材を受けたり、苫小牧市の観光親善大使としての知識や作法を学ぶ

◆セーフティーウェーブ・イン・苫小牧への出演(9月)

交通安全への呼びかけと素敵な演奏のイベント「セーフティーウェーブ・イン・苫小牧」で花束贈呈と抽選会の手伝い

◆とまこまいマラソン大会(10月)

とまこまいマラソン大会で、参加ランナーの応援と、ゴール後の「とまチョップ水」と記念品の手渡し

◆東京とまこまい会(10月)

東京都港区で開催された「東京とまこまい会」に参加し、物産販売、抽選会等を通じて苫小牧に縁のある人達との交流を深める

◆とまこまいハロウィンフェスタ(10月)

「とまこまいハロウィンフェスタ」のパレードへの参加や仮装コンテストの審査員を務める

等々、これら以外のイベント・行事にも参列する。

苫小牧市内在住もしくは苫小牧市内の事業所に通勤・通学している女性で興味のある人はぜひ応募してみては。

【「2021ハスカップレディ」応募要領】

・応募資格:高校生(工業高等専門学校1~3年生)等を除く、健康で明るい満18歳以上(平成15年4月1日生以前)の女性
 既に他市町村で観光親善大使等に就任している人の応募不可
 既婚・未婚不問
 苫小牧市内在住、または市内事業所及び学校に通勤・通学している人
 苫小牧市の観光親善大使として、1年間市内外の公式行事や観光行事に対応可能な人(平日勤務含む)
  ※例年公務回数実績:30~40回
・応募方法:本人(自薦)または推薦者(他薦)が応募用紙に必要事項を記入し、下記応募先へ持参・郵送にて応募
 応募用紙に撮影3ヵ月以内のカラー写真(全身)貼付必須
・応募期間:令和3年4月5日(月)~令和3年6月4日(金)
  ※郵送当日消印有効
・応募先:〒053-0022 苫小牧市表町5丁目11番5号 ふれんどビル1階
     第66回苫小牧港まつり実行委員会事務局(苫小牧観光協会内)
・応募用紙配布場所:苫小牧市観光案内所(ふれんどビル1階)、苫小牧市観光振興課(ふれんどビル3階)、苫小牧市役所1階総合案内、各コミセン等
・審査会:令和3年6月20日(日)
・発表:第66回とまこまい港まつり開会式で表彰
・入賞/賞品:受賞トロフィーの他、豪華副賞贈呈
・問合せ:電話 0144-34-7050(苫小牧観光協会)

■2021ハスカップレディを募集します/苫小牧市観光情報
https://www.city.tomakomai.hokkaido.jp/kankojoho/hasukappu_lady/boshu.html

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099

日本ではサラブレッドの産地、中国ではウイルス!?【連載:アキラの着目】

緊急事態宣言の解除後もまたぶり返すのではないかと懸念されている新型コロナウイルスの蔓延。

新型コロナウイルスを報じない日はないくらい毎日が新型コロナウイルスのことばかりだ。

こうした状況は、日本だけでなく世界でも似たりよったりで、連日海外でも新型コロナウイルスについて報道されているのは言うまでもない。

FJ時事新聞でも中国での新型コロナウイルスについての記事を取り上げているが、新型コロナウイルスの中国での表記は「新型冠状病毒肺炎」で、これの略称が「新冠肺炎」、さらなる略称が「新冠」だ。

あれ、中国語では新型コロナウイルスを「新冠」と表記するの?

こう思った日本人が多いのでは。

かく言う筆者もその1人なのだ。

こう思った人は、ある程度の北海道に対する興味や理解がある人だろう。

というのも、日本では「新冠」といえば、北海道の新冠(にいかっぷ)だからだ。

北海道の日高振興局中部にある新冠町は、日本有数のサラブレッドの産地として競馬に詳しい人ならば確実に知っている町だ。

新冠町公式HPから引用
新冠町公式HPから引用

通常の日本語の音読みだと「新冠」は「しんかん」と発音するものだが、「にいかっぷ」と発音するのは、アイヌ語の「ニカプ」に由来したからだ。

アイヌ語の「ニカプ」とはニレの木をいい、この地にニレの木が多く茂っていたから、付いた地名なのだ。

このように、同じ漢字を使うにもかかわらず、「新冠」は日本ではサラブレッドの一大産地、中国では新型コロナウイルス、という全然別ものを表すのだから、面白いものだ。

■新冠町
https://www.niikappu.jp/

■サラブレッドと音楽のまち 新冠町観光協会
http://niikappu.gr.jp/

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099

東京の様々な地名の由来 ~麻布(東京都港区)~【連載:アキラの着目】

久々の「東京の様々な地名の由来」シリーズで今回取り上げるのは、麻布だ。

一口に麻布といっても、「元麻布」、「西麻布」、「東麻布」、「南麻布」、「麻布台」といった広大な範囲を含み、戦前の麻布区が麻布そのものの範囲だといわれている。

現在でも麻布狸穴町(あざぶまみあなちょう)、麻布永坂町のように、地名の頭に「麻布」が付く地名が残っているが、それらはまさしく戦前は麻布区であった証だ。

麻布狸穴町(あざぶまみあなちょう)の狸穴坂
麻布狸穴町(あざぶまみあなちょう)の狸穴坂

六本木も元々は、そうした麻布にある1つの町に過ぎなかった。

そんな広い麻布であるが、麻布という地名の由来には諸説ある。

1つ目の説は、この一帯で麻を多く植え、布を織っていたことに由来し、麻がよく育つ土地という意味で「麻生」になり、これが転じて「麻布」となったとする説だ。

しかし、元々「麻布」は江戸時代くらいまでは、「阿佐布」、「麻生」、「浅府」、「安座部」といったように表記がまちまちで、現在の「麻布」表記に定着したのは幕末以降のようだ。

ということは、必ずしも麻が育っていた土地であったとか、麻で布を織っていた土地であったことは疑わしく、この説は信憑性が低いと言わざるを得ない。

もっともらしいあて字で表記する方が都合が良かったのだろう、おそらく表記の利便性を優先し、まちまちだった表記を「麻布」にしたと考える方が自然だ。

よって、この説は「麻布」の地名の由来としては却下。

2つ目の説は、アイヌ語由来説だ。

太古の昔、麻布十番の周辺までは海であった。

東京湾に突き出ている芝公園の高台から飯倉、麻布狸穴、鳥居坂、日ケ窪、麻布山麓、仙台坂と続く半島と、三田山、魚藍坂(ぎょらんざか)、三光町、恵比寿、天現寺まで続く半島に囲まれた内海は海草が繁殖し、小魚の天国であったので、早くから石器時代から住み着いた原人とアイヌ人がが仲良く住みついていたと考えられる(麻布山にも貝塚があったとのこと)。

当時、内海には小島が点在し、半島を横切るために舟や筏のような乗り物が頻繁に使われ、それらにより狩猟や物々交換をしていたようだ。

こうした舟や筏などで渡ることをアイヌ語で「アサップル」といい、この「アサップル」が転じて「アザブ」、それに漢字をあてて、現在の「麻布」になったとする説を稲垣利吉氏は主張している。

アイヌ語が、それも麻布のところだけ数千年も残るものなのか、これまた信憑性は低いように思われる。

最後の3つ目の説は、地形に由来する説だ。

「あざぶ」は「あさふ」でもあり、「あさふ」は口語では「あそう」と発音するため、「麻生」という表記をあてることもできる。

「麻生」とは「あぞ・ふ」とも発音し、「あぞ・ふ」はすなわち崖地の場所を表している言葉なのだ。

東京都港区の麻布は、まさに台地の縁にある崖地であり、高低差があるため、坂道が多いのはご承知のことかと。

したがって、「麻布」は崖地から由来した地名なのだという説で、信憑性が高いと思われる。

筆者は、3つ目の地形に由来する説が最も「麻布」の地名の由来としてしっくりくるように思う。

やはり、日本の地名は古来より地形から名付けることが多く、こんな地形だから悪天候の時は気をつけろ、みたいなハザード・メッセージを込めている場合が多いのだ。

例えば「龍」が付く地名は、一見カッコ良さそうだが、雨が降ると、その土地の川が、龍が暴れるかのように氾濫する、という意味だったり、鬼怒川もまさに似たような意味で、雨が降ると、鬼が怒ったかのごとく川が氾濫するから鬼怒川と名付けられたのだ。

なので、「麻布」は崖地ですよ、という意味を伝えるために名付けられたのだと考えると、無理がないかなと思う次第だ。

気になる人は、古くから麻布に住むご老人に訊き取りすると、真相がわかるかもしれない。

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099

無料で気軽に始められる『アイヌ語ラジオ講座』(STVラジオ)【連載:アキラの着目】

よく言われるのが「日本は単一民族の国家である」ということだ。

これは広義では間違いではないが、狭義だと間違いだ。

なぜならば、日本には通常の日本人に加え、琉球の人(沖縄の人)、アイヌの人がいるからだ。

アイヌの人は、北海道を主な居住圏とした先住民で、元々は本州にも住み着いていたといわれている。

それが、3万数千年くらい前に大陸から渡ってきた人が、先住民であるアイヌの人を追いやり、アイヌの人はどんどん北へ逃げていくようになり、最終的には北海道周辺に定着したものと考えられている。

そうしたアイヌの人を追いやる指揮官を「征夷大将軍」といい、日本において「夷」は主にアイヌの人のことをさしていたのだ。

歴史が下るにつれて、「征夷大将軍」つまり「将軍」は幕府を開き、武家政治を執る役職となった。

話がだいぶ横道に逸れてしまった。

アイヌの人は、元来、文字を持たない民族であるため、語り継がれながら、今日までアイヌ語は遺されてきたのだが、アイヌの人でも現在は、標準語しか話せない人も多くなったようで、言語学においては「孤立した言語」と認識されており、国際連合教育科学文化機関によって、2009年2月に「極めて深刻」な消滅の危機にあると分類された言語なのだ。

北海道のかなりを占める地名、例えば、札幌(サッポロ。「サッ」+「ポロ」+「ペツ」で「乾いた大きな川」の意)、苫小牧(トマコマイ。「ト(沼の意)」+「マコマイ(川の河口の意)」)、苫鵡(トマム。「湿地」の意)、新冠(ニイカップ。「ニカプ(ニレの木の皮の意)」)は、アイヌ語から名付けられているだけに、アイヌ語が「絶滅危惧種」になっているとは思わなかったが、現実はそうなのだ。

そのアイヌ語を絶滅させてはならじと、平成10年より開講されているのが、地元北海道札幌の放送局STVラジオで放送中の『アイヌ語ラジオ講座』だ。

北海道札幌の放送局・STVラジオで放送中の『アイヌ語ラジオ講座』
北海道札幌の放送局・STVラジオで放送中の『アイヌ語ラジオ講座』

多くの人がアイヌ語に触れるきっかけとして、また、初級のアイヌ語を学習する機会として『アイヌ語ラジオ講座』は放送されている。

2008年4月からは、テキストをPDFファイルで、音声をMP3ファイルの高音質ポッドキャストとして、無料にてダウンロードができるようになり、ダウンロードしたPDFファイルを印刷して使ったり、ダウンロードした音声ファイルをパソコンやスマートフォン、携帯プレーヤーに保存して、自由にどこでも気軽に聴けるのは便利だ。

アイヌ語やアイヌ文化に興味が湧いた人は、STVラジオ『アイヌ語ラジオ講座』をぜひ聴いてみよう。

■アイヌ語ラジオ講座 | STVラジオ
https://www.stv.jp/radio/ainugo/

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099