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無料で気軽に始められる『アイヌ語ラジオ講座』(STVラジオ)【連載:アキラの着目】

よく言われるのが「日本は単一民族の国家である」ということだ。

これは広義では間違いではないが、狭義だと間違いだ。

なぜならば、日本には通常の日本人に加え、琉球の人(沖縄の人)、アイヌの人がいるからだ。

アイヌの人は、北海道を主な居住圏とした先住民で、元々は本州にも住み着いていたといわれている。

それが、3万数千年くらい前に大陸から渡ってきた人が、先住民であるアイヌの人を追いやり、アイヌの人はどんどん北へ逃げていくようになり、最終的には北海道周辺に定着したものと考えられている。

そうしたアイヌの人を追いやる指揮官を「征夷大将軍」といい、日本において「夷」は主にアイヌの人のことをさしていたのだ。

歴史が下るにつれて、「征夷大将軍」つまり「将軍」は幕府を開き、武家政治を執る役職となった。

話がだいぶ横道に逸れてしまった。

アイヌの人は、元来、文字を持たない民族であるため、語り継がれながら、今日までアイヌ語は遺されてきたのだが、アイヌの人でも現在は、標準語しか話せない人も多くなったようで、言語学においては「孤立した言語」と認識されており、国際連合教育科学文化機関によって、2009年2月に「極めて深刻」な消滅の危機にあると分類された言語なのだ。

北海道のかなりを占める地名、例えば、札幌(サッポロ。「サッ」+「ポロ」+「ペツ」で「乾いた大きな川」の意)、苫小牧(トマコマイ。「ト(沼の意)」+「マコマイ(川の河口の意)」)、苫鵡(トマム。「湿地」の意)、新冠(ニイカップ。「ニカプ(ニレの木の皮の意)」)は、アイヌ語から名付けられているだけに、アイヌ語が「絶滅危惧種」になっているとは思わなかったが、現実はそうなのだ。

そのアイヌ語を絶滅させてはならじと、平成10年より開講されているのが、地元北海道札幌の放送局STVラジオで放送中の『アイヌ語ラジオ講座』だ。

北海道札幌の放送局・STVラジオで放送中の『アイヌ語ラジオ講座』
北海道札幌の放送局・STVラジオで放送中の『アイヌ語ラジオ講座』

多くの人がアイヌ語に触れるきっかけとして、また、初級のアイヌ語を学習する機会として『アイヌ語ラジオ講座』は放送されている。

2008年4月からは、テキストをPDFファイルで、音声をMP3ファイルの高音質ポッドキャストとして、無料にてダウンロードができるようになり、ダウンロードしたPDFファイルを印刷して使ったり、ダウンロードした音声ファイルをパソコンやスマートフォン、携帯プレーヤーに保存して、自由にどこでも気軽に聴けるのは便利だ。

アイヌ語やアイヌ文化に興味が湧いた人は、STVラジオ『アイヌ語ラジオ講座』をぜひ聴いてみよう。

■アイヌ語ラジオ講座 | STVラジオ
https://www.stv.jp/radio/ainugo/

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099