国宝・松本城(長野県松本市)~FJ時事新聞おすすめ名城~【連載:アキラの着目】

今回のニッポンニュース「FJ時事新聞おすすめ名城」で取り上げるのは現存12天守で、姫路城、彦根城、犬山城、松江城と並ぶ国宝城郭の松本城だ。本丸御殿跡を通りながら、松本城天守へ

文禄2~3年(1593~1594)に建てられた五重六階の現存天守としては日本最古を誇る。

松本城の歴史は戦国時代にまで遡る。

元々、現在松本城のある地には永正元年(1504)に島立氏によって建てられた深志城(ふかしじょう)があり、この深志城が現在の松本城の前身であるといわれている。

その後、深志城を拠点とした武田氏の統治が32年間続くも、天正10年(1582)織田信長による武田氏滅亡で、木曽義昌、小笠原洞雪と城主が替わり、小笠原長時の嫡子・貞慶が深志城を奪還し、深志を松本と改名、さらに時代が進み、石川数正によって大天守が建てられた。

標高590メートルの盆地内平地に位置する平城の松本城は、大天守(だいてんしゅ)・乾小天守(いぬいこてんしゅ)・渡櫓(わたりやぐら)・辰巳附櫓(たつみつけやぐら)・月見櫓(つきみやぐら)の五棟で形成されており、大天守と乾小天守を渡櫓によって連結し、辰巳附櫓と月見櫓が複合された連結複合式の天守として有名だ。

ちなみにこの連結複合式天守は、全国広しといえども、松本城だけに見られる特徴的な天守構造だ。

では実際に写真で松本城を観ていこう。

まず1枚目の写真は、松本城北側の堀端から、堀と石垣と天守を樹木越しに捉えたもの。

松本城北側の堀端から樹木越しに捉えた松本城の堀と石垣と天守

現在の松本城は二重の堀で周らされているが、建てられた当時は三重の堀で周らされていたとのこと。

2枚目の写真もやはり松本城北側堀端の松本神社の交差点から撮影。

松本城北側堀端の松本神社の交差点から撮影した松本城

3枚目の写真も松本城北側の堀と石垣だ。

松本城北側の堀と石垣

4枚目の写真は大手側の堀で、画面左側にかすかに写っている橋を渡り、真っ直ぐに進むと、二の丸になる。

松本城大手側の堀松本城案内図現在の地図と重ね合わせた松本城縄張図

松本城の石垣は、未加工の自然石を使用した野面積み(のづらづみ。「乱積み」ともいう)という積み方で構築されており、約400年前に積まれた状態のままで、石の積み替えは行われていない。

その野面積みの中でも、横目は通っているのだが、所々乱れているものを「布積み崩し」といい、松本城本丸北側の外堀の石垣はこの布積み崩しによる構築だ。

松本城の天守・黒門・堀・石垣松本城松本城と埋橋

松本城本丸御殿跡の片隅にあるのが、松本市のマスコットキャラクター・アルプちゃんだ。

松本城と松本市マスコットキャラクター・アルプちゃん

松本城にいる際のアルプちゃんは「甲冑バージョン」の出で立ちで、背景に松本城天守を入れながら、このアルプちゃんと一緒に撮影する外国人観光客もいた。

本丸御殿跡を通りながら、松本城天守へと歩みを進めていく。

本丸御殿跡を通りながら、松本城天守へ

本丸御殿南側に回ると、本丸を取り囲む土塁が現れるので、忘れずに土塁も観ておこう。

本丸を取り囲む土塁

天守最上階まで有料にて登城できる。

その際、以下の2点に注意。

・階段が極めて垂直に近い傾斜であるため、お年寄りや子供は特に注意が必要のこと
・スカート着用の女性は、周囲の男性(スタッフ、観光客含む)の視線が集中してしまう可能性が高いので、必ず長ズボン着用で登城すること

天守最上階からの眺望は文句なし。

ただし、犬山城のような回り縁がないため、天守の外に出る建物構造にはなっておらず、金網越しに景色を観ることになる。

松本城天守最上階からの文句のつけようがない眺望

写真は金網の、意図的に広げられた最も大きな穴から撮影したため、金網越しにならなかっただけだ。

天守から降りると、最後は月見櫓に。

松本城月見櫓

月見櫓はその名の通り「風流に月見をして、歌を詠む」櫓であり、決して戦闘用櫓ではないため、「石落とし」や「矢狭間」、「鉄砲狭間」、「武者溜り」がなく、極めて平和な構造になっている。

そんなわけで、松本城は、戦国時代末期に建てられた大天守・渡櫓・乾小天守の三棟と、江戸時代初期に建てられたと考えられているこの月見櫓と辰巳附櫓の、相反する性格の建物が共存している天守群を持つ、我が国で唯一の城なのだ。

現代風にいうと、戦闘基地とカルチャーセンターの両方が併設された建物ということができ、これが松本城の特徴の1つだ。

松本城月見櫓

最後の写真は、松本城東側に位置する太鼓門を出た所、すなわち外枡形から撮影したものだ。

松本城二の丸太鼓門

現在は、写真で見る通り歩道が緩やかに曲線カーブを描くように施されているが、枡形であるから、進入路が直角に折れ曲がるように門を配した構造になっているのを確認できよう。

最後に付け加える点が1つ。

筆者は、観覧開始時間20分前に松本入りし、8時40分台には天守に登城したので、さほど困難や不便は感じなかったが、混雑ピーク時に訪れると、天守に登るだけでもかなりの待ち時間や、観覧時間がかかるかと予想される。

天守最上階への階段は、フロア毎に幅広かったり、狭かったりし(上の階は狭い幅の階段)、狭い階段を昇降兼用で使用しているところでは、筆者の訪れた時間帯でもやや「渋滞」となっていたからだ。

ゆったりと松本城を満喫したいのならば、それなりの早い時間に訪れることをおすすめする。

【国宝松本城 天守観覧時間等】
・観覧時間:午前8時30分から午後5時まで
 ただし、入場できるのは午後4時30分まで
 ※GWおよび夏期は時間延長あり
・定休日:12月29日~31日
 ※1月1日~3日は要問い合わせ

【松本城へのアクセス】
●電車:JR篠ノ井線「松本駅」下車 徒歩約15分
●バス:松本周遊バス「タウンスニーカー」北コース 「松本駅お城口」発→「松本城・市役所前」下車(乗車時間約10分)
●自動車:長野自動車道 松本ICから、国道158号を松本市街地へ向かい約3km(約15分)

【松本城最寄りの駐車場】
・市営松本城大手門駐車場
 松本城まで徒歩約5分
 開場 7:30~22:30
 TEL 0263-33-1010
・市営開智駐車場
 松本城まで徒歩約5分
 開場 8:00~18:00
 TEL 0263-39-6650
・市営開智大型駐車場
 松本城まで徒歩約5分
 開場 8:00~17:00

【松本城管理事務所】
〒390-0873 松本市丸の内4番1号
TEL:0263-32-2902 FAX:0263-32-2904

■国宝 松本城 – 松本城をより楽しむ公式ホームページ
http://www.matsumoto-castle.jp/

※時間は平成30年6月24日現在のもの

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099