近年、海面温度が上昇するエル・ニーニョ現象により異常気象がもたらされ、日本全国至る所でゲリラ豪雨、集中豪雨が発生するようになった。
その結果、短時間で1ヵ月分の降雨量を記録するような大雨が頻発し、河川の氾濫も多くなったのだ。
しかし、河川の堤防が決壊しても、その被害を最小限にとめる努力はできる。
自宅に水が流れ込まぬように、土嚢を積んだりすることだ。
ただし、土嚢をやみくもに積めばいいかというと、そんなことはない。
土嚢の積み方にもちゃんとセオリーやノウハウがあるのだ。
そういった土嚢の積み方のセオリーやノウハウを蓄積しているのが、災害対策も担当している自衛隊だ。
どのような土嚢の積み方をしているのか、まずは動画でご覧頂きたい。
■自衛隊LIFEHACK Season2「正しい土のうの作り方①~作り方編~」
■自衛隊LIFEHACK Season2「正しい土のうの作り方②~積み方編~」
土を6~7分目まで入れ、積み重ねやすい形になるように整形するのがポイントだ。
土嚢を台形型に整形すれば、積み重ねやすくなるし、積み重ねた後に隙間がなくなり、水の侵入を少なく抑えることができる。
1つ1つの土嚢を整形せず、形がまちまちだと、積み重ねるのも面倒になり、おまけに土嚢と土嚢の間に隙間ができ、水が侵入しやすくなるので、何のために土嚢を積んだのか意味がわからなくなってしまう。
整形する手間や時間が多少かかっても、水の侵入をしっかり食い止めるためにも、こうした土嚢の整形や積み方は重要なのだ。
出来上がった、綺麗に積み重ねられた土嚢を見ると、なんだか城郭の石垣、それも打込み接ぎ(うちこみはぎ)や切込み接ぎ(きりこみはぎ)のようだ。
やはり、整然としたものは機能を存分に発揮し、逆に言い換えれば、機能を果たすには見た目も綺麗に仕上げないといけないのだ。
ただ斬るだけの用途の刀でも、観賞に堪えられる美も追求してきたのが日本刀であるが、同じような意味が土嚢にも込められているように思えてならない。
昔から「機能美」、「様式美」を追求してきた日本文化をこの土嚢でも垣間見ることができよう。
今回取り上げた土嚢の積み方は、実際に使われない状況であるのが最も良いのだが、河川の氾濫等で止むに止まれぬ場合のためには、役立つこともあるかもしれないので、頭の片隅に入れておこう。