「招き猫」タグアーカイブ

縁起物同士による最強の組み合わせ、招き猫だるま【連載:アキラの着目】

これまでのニッポンニュースでは度々、縁起物を取り上げてきた。

御朱印であったり、だるまであったり、招き猫であったり、さらには追い出し猫も。

これらはもちろんご利益(ごりやく)のあるものばかりで、それだけで福をもたらしたり、禍をはねのけたりすると古来から言い伝えられてきたものだ。

しかし、そんな縁起の良いものならば、単体でなく、縁起物同士による複合体だったら、もっとご利益があるのではないか?

そんな発想から生まれたのかわからないが、縁起物同士による最強の組み合わせが、実は存在するのだ。

それが招き猫だるまだ。

招き猫だるま 中川政七商店 公式サイトから引用
招き猫だるま
中川政七商店 公式サイトから引用

招き猫とだるまを組み合わせたものであるのは言うまでもない。
招き猫だるま

右手(前脚)を挙げている猫は金運を招き、左手(前脚)を挙げている猫は人(客)を招くと言い伝えられている招き猫は、古くから商売繁盛の縁起物として知られている。

一方、壁に向かって九年の座禅を行ったことで、手足が腐ってしまった達磨大師に因んで作られたのが、手足のない置物のだるまだ。

倒れても起き上がってくることから、縁起物として飾られ、選挙に当選した際や大願成就した際に、だるまの目を筆で書き入れるのはすっかり慣習として定着している。

この招き猫とだるまが組み合わさったのだから、招き猫だるまは最強の縁起物であることは間違いない。

しかも、だるまの長所を取り入れた作りとなっており、ころんと転がっても立ち上がるようになっているのだ。

苦難に遭遇しても立ち上がり、福を呼び込む招き猫だるまは、贈答品にもバッチシだ。

■招き猫だるま|家を装う|中川政七商店 公式サイト
https://www.nakagawa-masashichi.jp/shop/g/g4547639452832/

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099

悪運・災いを退散させる、招き猫ならぬ「追い出し猫」(福岡県宮若市)【連載:アキラの着目】

日本では「商売繁盛」、「招福万来」を願って招き猫を飾る店や企業、家庭が多いが、その招き猫については、先日のニッポンニュースでも取り上げたばかりだ(2019年09月06日ニッポンニュース「中世城郭・世田谷城のあった招き猫発祥の地・豪徳寺(東京都世田谷区)【連載:アキラの着目】」)

今や世界でもその存在を知られるようになってきた招き猫がある一方で、なんと招くどころか追い払う仕種をする猫の置物があるのもご存知だろうか?

悪運・災いを退散させる、招き猫ならぬ「追い出し猫」だ。

福岡県宮若市の「宮若追い出し猫」 宮若追い出し猫HPから引用
福岡県宮若市の「宮若追い出し猫」
宮若追い出し猫HPから引用

追い払う仕種の猫だから、箒を持って眼光鋭い。

宮若追い出し猫の「大・桜ちゃん」の表側 宮若追い出し猫HPから引用
宮若追い出し猫の「大・桜ちゃん」の表側
宮若追い出し猫HPから引用

しかし実は、「追い出し猫」は表裏一体型の招き猫で、裏側は手招きでニッコリ顔なのだ。

宮若追い出し猫の「大・桜ちゃん」の裏側 宮若追い出し猫HPから引用
宮若追い出し猫の「大・桜ちゃん」の裏側
宮若追い出し猫HPから引用

災いを退散させるのが1番にあるので、表側は手招きではなく、追い出しなのだ。

この「追い出し猫」、平成8年1月から生産および販売が開始され、翌年の平成9年11月には「宮若追い出し猫振興会」が設立されており(89名)、置物としてはもうかれこれ20年以上の歴史がある。

宮若とは地名で、「追い出し猫」発祥の寺・西福寺がある福岡県宮若市のことを指している。

今から約400年ほど前に、この西福寺にはたいそう猫好きな和尚さんが住んでいた。

ある時、西福寺に一匹の大鼠が住みつき、寺の近隣を荒らし回っていた。

しまいには和尚さんにまで危害が及ぶようになり、見かねた飼い猫が数百匹もの仲間猫を召集し、大鼠と凄まじい戦いを繰り広げた。

翌朝、息絶えた大鼠と変わり果てた猫達の亡骸が見つかり、猫達を哀れんだ和尚さんが猫達のお墓を作り、いつまでも手厚く供養し続けたとのこと。

現在でも宮若が栄えているのは、この猫達が見守っていてくれるからだとも。

「追い出し猫」は、この伝説を元にして作られ、人から人へと口伝えに認知され、「悪運・災い退散」、「開運招福」のお守りとして親しまれ、現在に至っている。

縁起物なので、「追い出し猫」は当然機械による大量生産ではなく、1体1体丁寧に型抜き、型調整、素焼き、磨き、絵付け、等々の工程それぞれの職人さんによって手作りされている。

かなり珍しい「追い出し猫」も飾ると、さらに運気上昇するかも。

■宮若追い出し猫
http://oidashineko.com/

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099

中世城郭・世田谷城のあった招き猫発祥の地・豪徳寺(東京都世田谷区)【連載:アキラの着目】

豪徳寺招福殿脇にある大小様々で数え切れぬほどの招き猫たち今回のニッポンニュースで取り上げるのは、知る人ぞ知る東京都世田谷区にある豪徳寺。

台東区・浅草今戸神社、新宿区落合南長崎・自性院と並び、「招き猫発祥の地」としても有名な寺だ。

1633年に現在のこの地・世田谷領が彦根藩の管轄となり、彦根藩2代当主・井伊直孝が井伊家の菩提寺としてこの寺の伽藍等を整備した。

豪徳寺という名の由来は、その井伊直孝の戒名「久昌院殿豪徳天英居士」の「豪徳」から拝借したとのこと。

江戸藩邸で暮らしていた井伊直孝がある日、鷹狩りの帰路、この付近を通りがかった際に、自分を招いているような1匹の猫を見かける。

井伊直孝がその猫の招きで門内に入るや否や、急な激しい雷雨となった。

この猫のおかげで、雷雨を回避でき、そのうえ和尚さんのありがたい法話も聴くこともでき、井伊直孝は大変喜んだとのこと。

その逸話が「招き猫発祥の地」として今日まで言い伝えられているのだ。

そんな微笑ましい逸話のある「招き猫発祥の地」豪徳寺だが、元々この地は、世田谷に本拠を置き、代々居を構えた奥州吉良氏によって築かれた世田谷城があった。

世田谷城の縄張り(敷地の範囲)は現在の豪徳寺と世田谷城址公園を含む辺りと推測され、世田谷城の空堀及び土塁の幾つかは現存している。

世田谷城の城郭構造(推定)
世田谷城の城郭構造(推定)

では早速、豪徳寺・世田谷城を散策してみよう。

豪徳寺の参道に入ってゆくと、向かって右側(参道東側)に世田谷城の土塁を観ることができる。

豪徳寺参道右側(参道東側)に現存する世田谷城の土塁
豪徳寺参道右側(参道東側)に現存する世田谷城の土塁

コンクリート塀からちょっと頭をのぞかせているので、誰でも視認できよう。

突き当たると右斜めに道が曲がるので、そこで振り返ると、世田谷城の城郭構造(推定)における「郭A(築城当時は「二の郭」もしくは「奥御所」とも)」を望める。

世田谷城「郭A(築城当時は「二の郭」もしくは「奥御所」)
世田谷城「郭A(築城当時は「二の郭」もしくは「奥御所」)

何もわからない人が見ると、ただの空き地にしか見えないが、所々に土塁を散見できる。

豪徳寺境内に足を踏み入れると、そこは世田谷城の「前郭」であったところで、進行方向左側に三重塔が姿を現す。

豪徳寺境内(世田谷城「前郭」)にある三重塔
豪徳寺境内(世田谷城「前郭」)にある三重塔

三重塔を越えた辺りに左側に行ける小径が現れるので、そこを歩くと招福殿や、その脇にある大小様々で数え切れぬほどの招き猫たちを観ることができる。
豪徳寺招福殿脇にある大小様々で数え切れぬほどの招き猫たち豪徳寺招福殿脇にある大小様々で数え切れぬほどの招き猫たち豪徳寺招福殿脇にある大小様々で数え切れぬほどの招き猫たち豪徳寺招福殿脇にある大小様々で数え切れぬほどの招き猫たち

豪徳寺招福殿脇にある大小様々で数え切れぬほどの招き猫たち
豪徳寺招福殿脇にある大小様々で数え切れぬほどの招き猫たち

豪徳寺境内の開けた場所には仏殿や社務所があり、ここでも招き猫が歓迎していた。

豪徳寺仏殿
豪徳寺仏殿
豪徳寺社務所
豪徳寺社務所前にある招き猫
豪徳寺社務所前にある招き猫

筆者の訪れた時間が夕方で閉館間際だったこともあって、社務所はすでに閉まっており、招き猫を購入できなかった。

あらためて次回にチャレンジして、招き猫をゲットしたい。

参拝も終え、豪徳寺境内を離れ、隣接する世田谷城址公園へ。

かなり整備され、当時の面影がないのではと期待していなかったが、実際に行ってみたら、郭や土塁、空堀が残っており、東京23区内にまだこれだけの城郭が残っていることに嬉しさを感じた。

世田谷城「郭F(南郭)」 現・世田谷城址公園
世田谷城「郭F(南郭)」
現・世田谷城址公園
世田谷城の空堀  現・世田谷城址公園世田谷城の空堀  現・世田谷城址公園
世田谷城の空堀  現・世田谷城址公園
世田谷城の空堀
現・世田谷城址公園

特に「郭F(南郭)」と空堀の高低差は想像以上にあり、中世城郭マニアにとっては十分なご馳走となろう。
世田谷城「郭F(南郭)」と空堀の高低差

世田谷城「郭F(南郭)」と空堀の高低差 現・世田谷城址公園
世田谷城「郭F(南郭)」と空堀の高低差
現・世田谷城址公園

世田谷区の閑静な住宅街にある一寺院に過ぎない豪徳寺なのだが、「招き猫発祥の地」という惹きが強いのか、海外からの訪問・参拝客もそこそこいたのには驚き。

やはり招き猫は日本のみならず世界で人気となりうる存在であることを認識した次第だ。

付け加えるとしたら、招き猫だけでなく、中世城郭・世田谷城の土塁・郭・空堀も併せて観ることを推奨したい。

【大谿山(だいけいざん)豪徳寺 詳細】

・所在地:〒154-0021 東京都世田谷区豪徳寺2-24-7
・アクセス:小田急線「豪徳寺」駅徒歩10分、東急世田谷線「宮の坂」駅徒歩5分
・宗派:曹洞宗
・文化財:彦根藩井伊家墓所(国の史跡)、井伊直弼墓(東京都指定史跡)、他多数
・お問合せ:03-3426-1437

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099