勝つためにはなんでもあり!? 「エルボースマッシュ」を繰り出した横綱・白鵬
先場所の大相撲名古屋場所14日目での出来事。
豪栄道との取り組みで、立ち会いからプロレス技「エルボースマッシュ」を彷彿とさせる「かち上げ」を繰り出した横綱・白鵬。
「勝つためにはなんでもありなのかよ!」、「プロレス技を出してまで勝ちたいのかよ!」といった内容の意見がネットを賑わせた。
ここ2、3年における白鵬の戦いぶりについては、横綱の品格云々といった意見がやたらと目立つようになってきているだけに、またかとの思いを抱いた大相撲ファンも少なくないはずだ。
相撲は、勝敗を決する競技なのだから、勝つことが最も重要であるのは言うまでもない。
ましてや相撲のルールに反していないのだから、文句を言われる筋合いはないというのが、おそらく「エルボースマッシュ」を繰り出した張本人である白鵬の心の内なのだろう。
そんな勝てさえすればいいじゃないか的な戦いぶりをする白鵬に対して、そもそも我々日本人は、なぜ否定的な見解を持ってしまうのだろうか?
日本人1人1人に内在する横綱のイメージ
「ただ勝てばいい」という白鵬を我々日本人が非難してしまう理由として、日本人1人1人の中に理想となる横綱のイメージがあるからだろう。
横綱としてこうあるべき姿、例えば、対戦相手の技をかわすことなくしっかりと受け止めて戦う「横綱相撲」をしてほしい、など。
今回の「エルボースマッシュ」は、日本人1人1人に内在する横綱のイメージとはあまりにもかけ離れているから、横綱の品格がない、横綱相撲じゃないとか非難されるのだ。
大相撲ファンのニーズを叶えていない白鵬
ただ勝つことだけを目的とするならば、アマチュアでよく、わざわざ観客に取り組みを見せる必要はない。
しかし大相撲は、会場に観客を入れ、その観客からしっかり木戸銭を取って、「見世物」としての要素も兼ね備えているのだから、ただ勝つことだけを見せていたのでは、観客は魅了されないし、満足もしないし、納得もしない。
ゆえに大相撲力士は、観客や大相撲ファンを魅了・満足・納得させるために、観客や大相撲ファンのニーズに敏感であらねばならないのだ。
そうした観点で捉えると「ただ勝てばいい」の白鵬は、観客や大相撲ファンをないがしろにしてると判断されても仕方がないだろう。
結論としては、ただ勝つだけならば、それはアマチュア選手でもできること、でも横綱ならば、魅了するような勝ち方をしなさいということだ。
いくら何百勝して記録を更新しようが、観客や大相撲ファンのニーズを無視した勝ち方をし続けるならば、白鵬はずっと観客や大相撲ファンの心を十分に掴めぬままだろう。