懐かしい昭和の食器 ~いちごスプーン~【連載:アキラの着目】

天皇陛下が平成31年4月30日に退位されることが発表されたことで、平成の次は何という年号になるのか、にわかに年号に対する関心が出始めたここ最近だが、相も変わらず「昭和」を懐古するブームは廃れていない。

そんな昭和懐古をする上で、やはり気になるアイテムが幾つか存在する。

そのうちの1つが、いちごスプーンだ。

昭和世代の人たちならば、誰もが使ったことのある馴染み深いスプーンだ。

いちごスプーン

いちごスプーンというネーミングだけあって、スプーンのすくう部分がいちご同様にブツブツ状に加工され、スプーン底辺部が真っ直ぐに平たい形状になっているのが特徴だ。

このいちごスプーンは、どのような使い方なのかというと、いちごを押し潰すために使っていた。

そもそもなぜいちごを押し潰していたのかというと、当時食卓のデザートで出されたいちごは、今とは異なり、かなり酸味が強かったので、砂糖や牛乳をいちごにかけて食べていたのだが、砂糖や牛乳が染み渡りやすいように、いちごを押し潰す必要性があったのだ。

いちごが酸っぱい→いちごに砂糖や牛乳をかける→まだ多少いちごが酸っぱい

いちごが酸っぱい→いちごを押し潰す→いちごに砂糖や牛乳をかける→ようやくいちごが甘くなった

このようなプロセスを経て、いちご押し潰し用に特化されたスプーンが登場したようだ。

いちごスプーンの需要は、いちごの甘さに反比例するかのように次第に生産量が激減、最盛期には年間5万本前後の生産量を誇ったいちごスプーンは、現在僅か700本にまで減少した。

しかし、平成の現在、再びいちごスプーンは、脚光を浴びている。

いちごのデザートやジャムを作る際に、いちごを押し潰しやすいとのことで、重宝がられていたり、また、離乳食用や介護用のスプーンとして使われるケースも多いのだとか。

かつて昭和の時代では、どこの家庭でもあったいちごスプーンだが、まだまだ存在価値があるようだ。

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099