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的確な正拳突き炸裂!「選手ファースト」の武神「KARATE ALL JAPAN CUP 2019」【連載:アキラの着目】

6月22、23両日の名古屋は熱かった!

その理由は大相撲名古屋場所があったからではない、武神初の国際親善大会「KARATE ALL JAPAN CUP 2019」があったからだ。

筆者は、「KARATE ALL JAPAN CUP 2019」初日の6月22日(土)しか観戦しなかったが、その初日の模様を簡単ではあるが、書いてみたい。

開場前から若者、家族連れがドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)に長蛇の列

空手を通じた青少年育成のため、東海地区で最大規模を誇る空手大会「KARATE ALL JAPAN CUP」を2001年の集結以来毎年開催しているのがNPO法人「新日本総合空手道連合会 武神」(以下文中では武神)だ。

全国の予選を勝ち抜き、選ばれし者だけが、武神「KARATE ALL JAPAN CUP 2019」の試合場に立てるのだ。

その選ばれし者たち見たさに開場前から名古屋城二の丸にあるドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)には長蛇の列。
武神「KARATE ALL JAPAN CUP 2019」の会場・ドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)には長蛇の列

武神「KARATE ALL JAPAN CUP 2019」への注目の高さがうかがえる。

それも長蛇の列には、家族連れから若い女性の姿も普通に散見できた。

以前だと格闘技の試合というと、男性客が圧倒的に多かったものだが、その頃とはうって変わり、現在は誰もが気兼ねなく安心して空手を観戦できる時代へと突入したのだ。

ドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)の正面入口が開扉するや否や、なだれ込むように観客が入場、最も観やすい席を確保すべく、さらに小走りで体育館奥へと進んでゆく。
ドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)の正面入口が開扉するや否や、なだれ込むように入場する観客

男女53名参加の「KARATE ALL JAPAN CUP 2019」は武神初の国際親善大会

武神「KARATE ALL JAPAN CUP 2019」には、男女合わせて53名の選手が参加、各クラスの頂点を目指す。

試合はJKJOルール・JFKOルール(国際親善大会)に則って行われ、全日本空手審判機構から認定された審判が試合を裁く。

「KARATE ALL JAPAN CUP 2019」は武神初の国際親善大会ということで、海外からも腕に覚えのある”刺客”が参戦してきた。

土屋アンナさんによる国歌斉唱

全選手入場の後にお決まりの国歌斉唱。

一体誰が歌うのかと思いきや、「土屋アンナさん」とアナウンスが流れ、館内中がどよめきの声に包まれた。

正真正銘の、モデル・女優・歌手として幅広く活躍される土屋アンナさんがドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)に登場だ。
国歌斉唱で来場した土屋アンナさん

神聖な空手場であるメインコートに素足で現れた土屋アンナさんは、粛々と「君が代」を斉唱、観客・選手・スタッフ一同皆聴き入ったのだった。
日本国旗国歌斉唱する土屋アンナさん

松井啓悟相談役・酒井寿和代表のご挨拶に選手思いのお言葉

土屋アンナさんの後は、NPO法人 新日本総合空手道連合会 武神の役員挨拶が続く。

武神2代目代表を務められた、松井啓悟相談役兼理事(男塾 塾頭)のご挨拶では、「選手のために素晴らしい舞台を創る。日本で1番の試合を中部(地方)でやろう。これが僕たちの信念であり、選手たちへの思いであります」と言われ、まさに武神の大会は選手が主人公の「選手ファースト」であり、道場や派閥などによる軋轢とは無縁なのだ。

松井相談役のご挨拶が終わると、現在、武神3代目代表を務められる酒井寿和代表(桜塾 代表)のご挨拶。

「私には2つの公約がありました。まず1つはナゴヤドーム大会の開催。そしてもう1つは武神加盟100道場です。(中略)松井相談役をはじめ、宮地顧問、武神の理事の先生方、何より武神加盟団体の先生方のご理解、ご協力の下、この2つの公約を達成することができました」

選手の輝ける舞台が有名であればあるほど、大きければ大きいほど、参加選手の人数が多ければ多いほど、選手たちは目標ができ、さらに日々の練習に熱がこもるのは言うまでもない。

選手のためのナゴヤドーム大会であり、選手が多くの猛者と競うための加盟100道場であり、こうした具体的な進化目標を立てられ、実際に達成されてきたことに対して、筆者は驚きを隠せない。

的確に効かす技が観られた「KARATE ALL JAPAN CUP 2019」

久々に空手の試合を生観戦したのだが、ここまで的確に技を効かしているとは思いもしなかった。

技の効かしが、適切な表現ではないが”エグい”のだ。

女子選手の試合を観ていたら、正拳突きが相手選手の鎖骨を的確に撃ち抜いているのには面食らった。

あれは痛い、並の人間ならば痛くてガマンできない。

正拳突きを食らった女子選手の鎖骨およびその周辺の皮膚は、眉間にシワを寄せて見てしまうくらい真っ赤に変色していた。

静止している人間の鎖骨を正拳突きで的確に撃ち抜くのさえ簡単なことではないのに、しかも試合中で動いている相手選手の鎖骨をピンポイントで撃ち抜くのは、普段からの的確な正拳突きの動作やその反復練習による身体記憶、動体視力の良さなど全てが揃わないと試合では出せないはずだ。

鎖骨どころか胸板を狙ったつもりでも、正拳突きが時折、相手選手の顎に流れ当たってしまうシーンを過去に何度も他団体の試合で観たことがあっただけに、武神「KARATE ALL JAPAN CUP 2019」に出場した選手の、的確に効かす技の精密さには脱帽した。

ただがむしゃらに練習するのではなく、目標や技1つ1つに対しての意識をしっかり持ちながら練習している選手だからこそ、高い完成度の選手になりうるのだろう。

膠着なく、延々打ち合う試合は、空手マニアでなくとも心打つ

武神「KARATE ALL JAPAN CUP 2019」を生観戦して、もう1つ思ったことがある。

それは、シンプルに面白いということだ。

リアルファイトにもかかわらず、膠着せずに延々激しく打ち合う試合は、決して空手マニア、格闘技マニアだけを唸らせるレベルではなく、世間ウケ、万人ウケするレベルのものなのではないか。

誤解を恐れずに言うと、武神「KARATE ALL JAPAN CUP 2019」はエンターテイメントにもなりうる面白さがあるし、気がつくと「あれ、もう試合が終わっちゃった」というくらいに試合にのめり込めるのだ。

もちろん世間には殴ったり、蹴ったりといったシーンを生理的に受け付けない人もいるだろうが、大抵の人は武神「KARATE ALL JAPAN CUP 2019」のような試合を観だしたら、かなり集中してしまい、心を打つのではなかろうか。

なので、きっかけが重要なのかなと。

例えば、空手好きの人が、空手の試合をいまだに観たことがない人を会場に連れてきたら、特典として何か粗品をプレゼントする、といったことも今後ファン層の拡大には必要になってくるかもしれない。

スピーディでスマートな大会進行だった「KARATE ALL JAPAN CUP 2019」

今回の「KARATE ALL JAPAN CUP 2019」では、昨年までとは異なり、試合場のコートで表彰式を行わず、本部席と正反対に位置する表彰台にて表彰式を行なうこととなった。

これにより、スピーディでスマートな大会進行になったようで、観客をだれさせたり、飽きさせたりすることもなく、”試合のわんこそば状態”が可能になったのだろう。

またさらに、スピーディでスマートな大会の進行になったことで、選手も今か今かと試合を待ち望んでいるテンションを焦らすことなく、ストレートに試合にぶつけられる利点もあったのではあるまいか。

やはり大会運営というのは、流れやテンポの良し悪しで大会そのものが良い方にも悪い方にも転んでしまうので、こういう表彰式1つの対処といえども重要なのだ。

最後に

2019年1月に東京・新木場にて開催された大会で武神の服部事務局長と初めてお会いした際に言われたのが「ウチ(=武神)は、お金が絡まないので、変なしがらみや派閥がないのです」ということだった。

格闘技界やプロレス界における過去の歴史を紐解けば、「金の切れ目が縁の切れ目」なのか、はたまた権力争いが元なのか、団体や組織の離散・分裂・解散・消滅が耐えない事件ばかりがフォーカスされる。

それらをファンの立場から見慣れてきた筆者からすると、「お金が絡まないので、変なしがらみや派閥がない」ということが最も安心できることであった。

今回「KARATE ALL JAPAN CUP 2019」を観戦し感じたことは、「選手のために」という献身行動に基づいて武神は成り立っているということだ。

それ抜きでは、先生方やスタッフの方々による真夜中までの会場設営や当日の試合審判、その他大会運営に関する業務を語ることができない。

武神は、志や目標を同じにする者同士が集まって行動する理想郷なのだとあらためて思った次第だ。

■ 武神「KARATE ALL JAPAN CUP 2019」ダイジェスト

■ NPO法人 新日本総合空手道連合会 武神
http://karate-bushin.com/

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099