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濃い口醤油、薄口醤油、溜まり醤油、再仕込み醤油、白醤油…様々な日本の醤油【連載:アキラの着目】

古代中国の「醤(ジャン)」が「醤(ひしお)」として定かではないが、飛鳥時代頃に日本に伝来し、その後中世、近世を経て日本独自の進化を遂げた現在の醤油。

本醸造醤油、混合醸造醤油、混合醤油といった醸造方法による醤油の分類もあるが、今回は単純な、種類による分類で醤油を取り上げる。

まず日本の醤油は、濃い口醤油、薄口醤油、溜まり醤油、再仕込み醤油、白醤油に分類することができる。

個別に見ていこう。

醤油の原料となる大豆と醤油

濃い口醤油

濃い口醤油は、日本の醤油生産量の8割以上を占める最も定番の醤油。

大豆または脱脂加工大豆を蒸した麹にほぼ等量の炒って砕いた小麦を混ぜ、濃い口醤油用の麹を作る。

江戸時代以来、関東を中心に発達し、香り、色、味がうまく均整がとれ、塩分が約16%程度。

用途は、つけ、かけ用の卓上調味料として、また、煮物、焼物、だし、たれ等の調理用醤油としても重宝されている。

薄口醤油

薄口醤油は、日本の醤油生産量の13%程度を占め、見た目とは異なり、意外と塩分は18~19%と濃い口醤油より高い。

なので「淡口」とは「色が淡い」意味で、決して「塩分が薄い」意味ではない。

薄口醤油の色が淡いのは、高濃度の食塩で発酵・熟成を抑えたからで、醸造過程の仕上げには甘酒や水あめを加えるのが特徴として挙げられる。

料理素材の味や色合いを生かすのに適し、控えめな香りも特徴の1つだ。

つけ、かけ用には不向きも、野菜の煮物やお吸物、うどんつゆ等にはかなり向いている。

溜まり醤油

溜まり醤油は、日本の醤油生産量の2%弱しかない醤油で、塩分は濃い口醤油と同じくらいだ。

濃い口醤油や薄口醤油は、大豆と小麦をほぼ同量ずつ使用するのに対し、この溜まり醤油はほぼ大豆だけで造られる。

蒸した大豆を味噌玉に作り、この味噌玉に麹菌を植え付けて、塩水に仕込み、1年間ほど熟成させる。

溜まり醤油の諸味(もろみ)は、かなり固くて撹拌できないため、諸味の中に細長い竹篭を入れて、この竹篭に溜まってくる液汁を汲んでは諸味の上にかけるという、古来から受け継がれた製造方法が採られている。

熟成後は、底から液汁を抜いて、製品にすれば溜まり醤油の出来上がりだ。

加熱すると綺麗な赤みを帯びるため、煎餅やあられ等のつけ焼きによく使用される醤油だ。

再仕込み醤油

再仕込み醤油は、日本の醤油生産量の約1%しかなく、塩分は16%程度。

麹を樽に仕込む際に、食塩水を入れるべきところで、ほぼ同じ塩分濃度の「生揚げ(きあげ)醤油」を入れて仕込むという、醤油を2度醸造するような製造方法を採ることから、再仕込み醤油と呼ばれる。

通常の醤油は加熱処理(火入れ)をするのだが、この生揚げ醤油は、この加熱処理(火入れ)がされていない。

というのも、酵素のはたらきを利用するからだ。

再仕込み醤油は、通常色が濃く、どろりとした濃厚な味だ。

白醤油

白醤油は、日本の醤油生産量の1%弱で、塩分は約18%。

溜まり醤油とは反対に、蒸した小麦を主原料に用い、炒った少量の大豆を用いて麹を作る。

小麦中心につくられた麹は、香りを生かすため、低温・短期間で発酵させ、薄口以上に発酵を抑えて造られる。

三河地方でもっぱら生産され、江戸末期に開発されたで、比較的新しい醤油の一種といえる。

ビールくらい淡い色調の白醤油は、糖分が12~16%と高く、素材本来の色を活かすのに適し、高級料理の隠し味やうどんの汁等に使われる。

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099