2020年の東京オリンピックを控え、渋谷の再開発や大規模道路沿いのビル再建工事など、目まぐるしく変化してゆく大都市・東京。
「あれ、ここは昔どうなっていたかな?」、「ありゃ、ここにあった木造の店がなくなっちゃって、ビルになっちゃったのか!」ということは東京においては日常茶飯事。
変わってしまった街は、もう取り戻せないし、観ることができない。
そうなると、昔の映像で観るしかないのだ。
幸い東京の場合は、昔から日本の中心地であり、ロケ地でもあるので、昔の東京の映像には事欠かない。
しかし、記録映像だとどうしても大衆が集う銀座や新宿、といった商業地が多く、駅から離れたエリアを撮影しているのが少なかったりするのだ。
でも、心配ご無用!
昔のドラマを観れば、昔の様々な東京の街が現れる。
例えば、石原裕次郎や渡哲也が出演していた『大都会』シリーズ。
このドラマだけ観ていても、かなり昔の様々な東京の街を観ることができるのだ。
実際に観てみよう。
ドラマ『大都会』シリーズで頻繁に犯人が立て籠もる料亭があるのだが、その場所は新宿区十二社(じゅうにそう)にある。
なぜ十二社にあると断定できたのかというと、写真右奥に見える熊野神社があるからだ。
この約40年の間に熊野神社も建て替えたようで、社殿の向きが変わってしまったものの、料亭前の坂は変わらぬままで、これらを手がかりに十二社と判明した。
この十二社は、西新宿よりさらに西のエリアで、幕末-明治期には十二社池という北から南にかけて胡瓜形をした池があり、多くの料亭がひしめく景勝地としてかなり賑わっていた。
かの勝海舟も、この十二社池・熊野神社そばに別荘を構えていたそうだ。
しかし、現在ではその十二社池もすっかり埋め立てられ、池のほとんどはマンション等に変わってしまった。
因みに明治期の地図右側にある「淀橋浄水場」は現在、東京都庁をはじめとする高層ビル群に生まれ変わっている。
次に挙げるのが六本木・テレビ朝日周辺だ。
現在テレビ朝日がある場所は、かつてしばらくの間、ニッカウヰスキー東京工場があった。
ドラマ『大都会PartⅡ』では、当時の地図とロケ地に「ニッカウヰスキー」の文字が現れ、時代を感じさせる。
その後、ニッカウヰスキー東京工場は閉鎖し、空き地となり、再開発を経て、テレビ朝日となった。
テレビ朝日前を走る都道319号線は、現在でこそ六本木ヒルズの前にあるトンネルを潜り、六本木通りに抜けているが、かなりの長期間、トンネル前が封鎖されていた。
したがって、自動車や人の往来はなく、撮影に適したロケーションだったのだ。
このように、昔のドラマを観れば、嫌でも昔の東京の街や風景を観ることができるので、現在の東京を思い浮かべながら、ドラマ中の東京を観れば、比較でき、ちょっとしたタイムスリップ的な楽しみができるかと思う。