今、巷で秘かに人気となっているのが「マンションポエム」だ。
「マンションポエム」という聴き慣れぬ言葉に戸惑う人もいるかと思うが、2013年頃より「デイリーポータルZ」の大山顕さん(写真家・ライター)の記事が発端となって認知されるようになった言葉・概念であり、端的に言うと、高級マンション等の広告に見られる詩的なキャッチコピーを指すのだ。
例を出すと、「洗練の高台に、上質がそびえる」(野村不動産「プラウドタワー白金台」)、「人生に、南麻布という贈り物。」(三井不動産レジデンシャル「パークホームズ南麻布ザレジデンス」)、といった、無駄に情感豊かでポエミーであり、物件のアピールの域を超えた表現であることから、マンションポエム愛好家・マニアが徐々にではあるが増えてきている。
前述の、マンションポエム第一人者である大山顕さんが、「KH Coder」というテキストマイニングの世界でお馴染みのソフトウェアを使い、1148件の「マンションポエム」を形態素解析してみたところ(総語句数は19万語以上)、抽出語とその出現回数は以下の結果となった。
出現回数1位のワードが「街」、以下「都心」、「暮らし」、「緑」といった周辺環境的なワードが上位を占め、マンション物件そのものの表現ワードが一切出てこないのが興味深い。
高級マンションやタワー・マンションを売り込むにあたり、マンション自体の情報(鉄筋コンクリート●階建、●LDK、等々)をキャッチコピーに入れずに、上品かつハイソなライフスタイルをイメージしやすいようなワードを使ったキャッチコピーにしていると言えよう。
これでついに「マンションポエム」を知ってしまった貴方、電車の車内でマンションの釣り広告を見たら、もう楽しまずにはいられなくなることだろう。