東京都内の遊園地で90年以上の歴史を持つ「としまえん」(東京都練馬区)が段階的に閉園することになりそうだ。
「としまえん」跡地に東京都の公園や、小説や映画が世界的に人気の「ハリー・ポッター」のテーマパークを造る交渉が進められているとのことで、早ければ今春までに成立する可能性もあるとのこと。
大正15年に「練馬城址 豊島園」として開園した「としまえん」は、22ヘクタールの敷地にアトラクションやプール、スケートリンク等を備えた首都圏有数の大規模遊園地。
昭和30年代には屋内スキー場、昭和40年代には「流れるプール」が、それぞれ世界初の施設として造られ、大盛況だった。
しかし、国内の遊園地は二極化しており、テーマパーク系遊園地は人気を獲得しているものの、旧来の遊園地は相次いで閉園を余儀なくされており、一時代を築いた「としまえん」もその余波を受けた形だ。
元々「としまえん」は前述の通り、練馬城址で中世の城跡だった。
14世紀末頃にこの地に勢力をふるった豊島氏が石神井城(現・石神井公園)の支城として練馬城を築いたと考えられており、江戸城を築いた太田道灌が練馬城を攻撃した歴史もある。
練馬城の遺構は、「練馬城址 豊島園」を開園するにあたって完全に破壊された。
「としまえん」内のウォータースライダー・ハイドロポリス(1989年建設)が建設された場所が練馬城の主郭跡で、現在は見る影もなく、少し高台になっているのが当時の名残りとしてうかがえる程度だ。
こうした歴史ある場所の「としまえん」なのだから、「ハリー・ポッター」のテーマパークよりも、練馬城址公園として整備し、堀や土塁等を復元し、往時の城を再現する方が文化的で、地元住民にも愛着感が芽生えるのではないかと筆者は考える。
としまえんの閉園はさびしい限りだが、それをむしろ好転と捉え、練馬城復活に転じるべきだ。
■としまえん
http://www.toshimaen.co.jp/