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貴方は粒餡、漉餡、味噌餡、どの柏餅が好き?【連載:アキラの着目】

東京では櫻の花もかなり散り、それと同時に櫻餅も旬を過ぎた。

しかし残念がることはない。

櫻餅の次は、柏餅の旬が到来だ。
柏餅

柏餅は、ご承知の通り、平たく丸めた上新粉の餅を二つ折りにした間に餡を挟み、カシワあるいはサルトリイバラの葉等で包んだ和菓子で、5月5日「端午の節句」に供えられる。

現在のカシワの葉を用いた柏餅になったのは、江戸幕府9代将軍・徳川家重~10代将軍・徳川家治の頃に江戸で生まれたといわれている。

この江戸生まれの、端午の節句に柏餅を供える文化は参勤交代により、各地の大名が江戸から各々の故郷に持ち帰り、その結果、日本全国に浸透したと考えられているが、1930年代頃まではカシワの葉を用いた柏餅は依然関東が中心であった。

地方によっては、カシワの葉を入手しにくいエリアもあったようで、カシワの葉の代用でサルトリイバラの葉を用いた柏餅(サルトリイバラ餅!?)があったりしたようだ。

そもそも、なぜ江戸ではカシワの葉でくるむようになったのかというと、新芽が育つまで古い葉が落ちないカシワの葉が「子孫繁栄(家系が途切れない)」として縁起が良いからともいわれている。

こうして日本全国に行き渡った柏餅だが、葉だけでなく、挟む餡にも地域差がある。

一般的な柏餅は、他の饅頭のような和菓子同様、粒餡、漉餡があり、逆にいうと、粒餡、漉餡しかないと思われがちだ。

だが、これらの餡以外に柏餅には味噌餡もあるのだ。

ただし、この味噌餡バージョンの柏餅は、いまだ「全国区」ではなく、同じ日本人でありながら、味噌餡バージョンの柏餅を知らない地域も広く存在する。

その味噌餡バージョンの柏餅を知らない地域は、愛知県をはじめとした中部地方や関西地方、九州などで、和菓子店で「味噌餡の柏餅を下さい」と言っても、店員から「?」という対応をされてしまうのだ。

櫻餅も地域によって異なる形状に分かれ、粒状の表面で餡が外側から見えない「道明寺桜餅」と、円筒型または袱紗折り(ふくさおり)で餡を包んだ「長命寺桜餅」の2種があるが、柏餅も粒餡、漉餡、味噌餡といった地域差が存在することがおわかりになったことかと。

自然なものを取り込むことで季節感を感じることができるという手法は、古代日本より様々な分野で採り入れられているが、葉そのもので包む柏餅はまさにその最たるもの。
柏餅

新緑の芽吹く季節に柏餅を食べるのは、まさに季節感を味わうことだから、端午の節句にはぜひとも柏餅を食そう。

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099