「小さ過ぎて読めない!」というハズキルーペのCMではないが、まさに小さ過ぎて読めないくらいのアート作品を作り、世に出している方がいる。
そのお方が石井岳城さんだ。
石井岳城さんが作る、小さ過ぎて読めないくらいのアート作品は何かというと、それは米粒に手書きのカタカナ5,551字で書いた般若心経だ。
1988年から4年3ヵ月をかけ、市販の筆ペンを使い、肉眼にて一粒の米(裏、表)にカタカナ5,551字で般若心経を書くことに成功したお方なのだ。
”キャンバス”の米には、染みがつかず書きやすい、佐賀県産の上場米(うわばまい)と呼ばれるもち米を使っている。
この佐賀県産上場米にたどりつくまでに約6年間を要し、100種を超える様々な米で試行錯誤を繰り返してきたのだとか。
それも、佐賀県産上場米でも、新米よりも3年ほど経った古米が適しているとのことだ。
”キャンバス”の米についてはわかったが、ではどのような方法で、1粒の米に大量の文字を書けるのか。
米粒の裏に刺した針を手で持ちながら、前述した市販の筆ペンを使い、拡大鏡を使うことなく肉眼で書いてゆくのだ。
文字を書いている際は、はたしてちゃんと文字が書けたかどうか「見えるわけがない」とのことだが、実際に仕上がった米粒を虫眼鏡で見てみると、ちゃんと文字になっている。
以前に脳梗塞を患った後遺症で左目は、ほぼ視力がないのにもかかわらずだ。
そもそも、米粒に文字を書こうとしたきっかけは、昭和19年~20年頃、東京都北区の財団法人「母子友の会」にて神技米粒の頒布があり、精神力高揚・社会浄化光明運動の一環として極小文字作家・川部伝二郎氏を招き、米粒に文字を書く実演をされた、という記事を少年誌「冒険王」で見つけたことからだそうだ。
「職人芸を後世に伝えたいという思いがある。何十年か経って『昔はこういう人がいたんだ』という歴史だけでも残ればいい」と語る石井岳城さんは、現在、手書き豆本、米粒絵、墨絵、仏像画、仏像彫刻、盆景、ミニチュア日本の城を創作する一方で、全国行脚を心掛け、各地の催事、企画に参加されているとのこと。
ちなみに、天草市船之尾町の天草文化交流館には、髪の毛に般若心経を書いたものや、米粒に読み仮名を付けた般若心経716字を書いたもの、風景画を描いたものなど約150作品が展示されているので、興味のある人は実際に行って、観てみよう。
■米粒先生こと石井岳城と仲間達の公式ホームページ
http://ishiigakujoh.com/