特撮番組は、テレビの発展や日本経済の発展と共に続いてきた。
一時期、特撮番組がない空白期間もあったようだが、平成30年現在において毎週日曜日には「仮面ライダービルド」が放送されており、特撮番組はいまだ健在で、人気のコンテンツだ。
筆者もかつて子供の頃は、特撮番組に夢中で、本放送や再放送で何回も繰り返してよく観たものだ。
悪者を退治する正義のヒーローに憧れてた当時の子供たちは、「弱きを助け、強きをくじく」といった道徳心や、卑怯な真似をしない、といったことを特撮番組から自然に学んでいったのだと思う。
そういったことは、作り手側も常に意識していたようで、花形の映画現場から”窓際”的な当時のテレビ現場に仕方なく移動してきたスタッフたちは、「たとえテレビでも、ちゃんとした物を作ってやろうじゃないか! 子供番組でもしっかりした物を作ってやろうじゃないか!」と手抜きをすることなく、むしろ「俺たちをはずした映画を見返してやる!」くらいの意気込みで、特撮番組を制作したのだそうだ。
その意気込みはスタッフだけではなく、当然演者である俳優の人たちも持っており、屋外の撮影現場に群がってくる当時の子供たちの夢を壊すことなく、また手本であらねばならないという信念をもっていた。
タバコを吸いたくとも、子供たちの前ではプカプカとタバコを吸うのは、正義のヒーロー像として失格だから、自制しておこう。
そんなエピソードも数あまたあったのだ。
かつて「仮面ライダーV3」の風見志郎役を演じたり、それ以外に幾つもの特撮ヒーローを演じてきた宮内洋氏は、今から20年ほど前に、日本テレビ系バラエティ番組「新橋ミュージックホール」(MC:ビートたけし、トータス松本、ユースケ・サンタマリア)に出演した際に、キッパリとこう言い放っている。
「特撮番組は、教育番組である!」
その言い放った様をリアルタイムで視聴していた筆者は、「ああ、自分が観ていた特撮番組は、”教育番組”だったのか!」とあらためて認識したのだった。
そうなのだ、特撮番組こそ”教育番組”であらねばならないし、特撮ヒーローこそ子供たちの手本とならねばならないのだ。
子供時代に多くの”教育番組”を観ることができて良かったな、良い時代だったな、とつくづく思う次第だ。