中国で有名な日本の芸能人は誰かという問いになると、必ずと言っていいほどに山口百恵さんの名前が挙がる。
間違いではない。
しかし、中国の国民的スポーツの躍進にまで影響を及ぼした、中国で有名な日本の芸能人は誰かとなると、山口百恵さんではないのだ。
では、その人は一体誰なのか?
その人は荒木由美子さんなのだ。
スポーツ根性ものドラマ(スポ根ドラマ)『燃えろアタック』(石ノ森章太郎原作・中国でのタイトル『排球女将』)で、女子バレーボールのヒロインを演じたのが荒木由美子さん。
当時の日本では、女子バレーボールが全盛期だったこともあり、その追い風を受けて『燃えろアタック』が制作され、荒木由美子さんも人気の階段を登り詰めるようになる。
ちょうど日本国内でバレーボールが盛り上がっている頃、お隣の中国でもバレーボールが人気・実力とも上昇中で、そのタイミングで『燃えろアタック』が中国でも放送されるようになったのだ。
あくまでもドラマであり、フィクションである『燃えろアタック』なので、ネットの遥か上まで体がすっぽり出てしまうほどのジャンプ力でアタックを撃つ「ひぐま落とし」や、現在のドローンでも無理なくらいの変幻自在な動きをする「UFOサーブ」など、冷静に観てはいけないような、奇抜な技が出現するものの、それでも圧倒的な人気があり、中国国内で80%の視聴率を超えたのだとか。
このように、中国の人たちの10人中8人がこの『燃えろアタック』、中国では『排球女将』を観ていたのだから、荒木由美子さんが中国国内で有名になり、大人気となってしまうのは当然のなりゆきだ。
中国の少女たちは、荒木由美子さん演じる主人公「小鹿ジュン(中国の『排球女将』では「小鹿純子」)」に憧れて、バレーボールをやり出す娘も増え、その結果、中国女子バレーボール躍進の原動力となり、現在の隆盛があるのだ。
アリババのジャック・マー会長も少年時代に『排球女将』に釘付けで、ヒロインの「小鹿純子」こと荒木由美子さんに恋心を抱いたのだとか。
その少年時代に抱いた淡い恋心、いつかは本物の荒木由美子さんに逢うという夢は、2003年に一応成就する。
アリババドットコムが荒木由美子さんを中国に招聘したのだ。
マー会長は、その後も日本で荒木由美子さんと度々逢い、記念写真を撮っているのだとか。
日本だけでなく、中国でも一世を風靡した荒木由美子さんは、現在も日中両国の架け橋的存在だ。
■荒木由美子プロフィール 株式会社ハブマーシー(タレント事務所)HP
http://www.havmercy.co.jp/Araki/pg106.html