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大人の視聴にも耐えうる特撮ドラマ『ウルトラセブン』、4Kリマスター版としてNHK BSにて放送中【連載:アキラの着目】

1967年(昭和42年)10月1日に放送が開始された特撮ドラマ『ウルトラセブン』。

当時放送されたフィルムを令和の現在にデジタルスキャンし、4Kリマスター版として蘇らせた『ウルトラセブン』をNHK BSが初めて放送するとのことで話題を集めたのは記憶に新しい。

ウルトラセブン 4Kリマスター版 - NHK から引用
ウルトラセブン 4Kリマスター版 – NHK から引用

『ウルトラセブン』4Kリマスター版は、4月から放送が開始され、令和3年4月25日現在、すでに第3話までが終了、本日AM8:00から第4話「マックス号応答せよ」が放送される。

円谷プロ制作の特撮ドラマは『ウルトラQ』を皮切りに『ウルトラマン』、そしてこの『ウルトラセブン』、以下『帰ってきたウルトラマン』、『ウルトラマンA(エース)』、『ウルトラマンタロウ』、等々へと継承されてゆくのだが、ファンの間では特にこの『ウルトラセブン』の評価が高く、ウルトラマンシリーズ最高傑作の呼び声が高いのだ。

それは一言でいえば、子供向け番組であるにもかかわらず、大人の視聴にも耐えうる奥深さが『ウルトラセブン』にはあるからだろう。

単なる「正義 VS 悪」という図式ではなく、つい何かを考えさせられてしまう深いテーマ性やメッセージ性、エピソードを含み持ったストーリーが『ウルトラセブン』にはあったのだ。

中でも”幻の第12話”といわれている「遊星より愛をこめて」は深大なメッセージが込められているストーリーなのだが、曲解された経緯により現在は欠番で放送禁止のままだ。

この第12話「遊星より愛をこめて」には「吸血宇宙人」の異名を持つスペル星人が登場するのだが、1970年10月に発売された学年誌の付録「怪獣決戦カード」には「ひばくせいじん」という異名が付けられてしまった。

この「ひばくせいじん」という異名が誇大に取り上げられ、第12話「遊星より愛をこめて」の放つメッセージとは裏腹に曲解され拡散し、全国的規模の抗議運動により第12話「遊星より愛をこめて」は封印されてしまった。

しかし、実際の作品としての第12話「遊星より愛をこめて」は永久に封印されるに値する作品だったのだろうか。

制作を担当した実相寺昭雄監督らは、第12話「遊星より愛をこめて」は原爆反対を訴えた作品だと反論しており、元広島平和記念資料館長・高橋昭博氏は『ウルトラセブン』第12話「遊星より愛をこめて」を視聴した際(1998年)に「31年前に観ても差別だとは感じなかったはずで、平和を願う気持ちが伝わる」と発言していた。

また、原水爆禁止日本国民会議は「当時の抗議の経緯はわからない。今、実際の番組(=『ウルトラセブン』第12話「遊星より愛をこめて」)を観ても特に問題があるとは思わないが、被爆者自身が観てどう思うかが重要。今後、経緯を説明した上で(第12話「遊星より愛をこめて」を)公開することは可能だと思う」と回答していた。

以上の経緯や実際のエピソードは、当時視聴していた子供たちが100%理解できたかというと、それは無理な話。

しかし、子供向け番組であろうとも、真摯なメッセージを織り交ぜた特撮ドラマに創り上げたことについては、当時のスタッフ陣の意識の高さや意気込みなどを感じずにはいられない。

現時点での「ウルトラセブン 4Kリマスター版 – NHK」公式HP上では、第12話「遊星より愛をこめて」の放送告知がなされていない。

たとえ第12話「遊星より愛をこめて」が放送されなくとも、他の回も十分に見応えありだから、ぜひ『ウルトラセブン』4Kリマスター版の視聴をオススメしたい。

■ウルトラセブン 4Kリマスター版 – NHK
https://www4.nhk.or.jp/P6565/

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099