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現代ニッポンの悪習、威嚇的咳払いの「咳ハラスメント」【連載:アキラの着目】

最近、日本人の誰もが出くわしている威嚇的咳払い

ここ最近、日本人の誰もが巷間で出くわしているのが、威嚇的咳払いだろう。

人によっては、威嚇的咳払いを”咳ハラスメント”とも”フェイク咳”とも言っている。

威嚇的咳払いのことをよくわからない人のために簡潔に説明すると…。

自分の思い通りのことを実現させるために、他人に対して咳をすることで、相手に注意を促したり、自分の望む方向に誘導するための威嚇的な咳をいうのだ。

かつてのニッポン社会では、そう頻繁にお目にかかれなかった現象であるが、現代ニッポンではむしろ当たり前のように今では見受けられることになってしまった。

この威嚇的咳払いの背後に隠されているのは、主に以下の2つがあると考えられている。

1つは、堂々と言葉で異議を唱えたり、注意喚起をすることができないから、威嚇的咳払いをするということだ。

軽い咳払いでさりげなく、相手に気づかせよう、悟らせようというのは、かつてのニッポン社会でもあるにはあったが、今回取り上げているのは、そうしたさりげない咳払いではなく、「威嚇的」な咳払いだ。

直接相手に異議を唱えたり、注意したりすると、それらが的を射てなかったり、勘違いだったり、見当違いだったりした場合、相手から反論もしくは反論以上のことが返ってくる可能性もあるため、それならばストレートに口頭で言うのではなく、威嚇的咳払いをしようというわけだ。

ある意味、威嚇的咳払いは”やったもん勝ち”で、反論されるのが怖いから、あらかじめ”逃げ”をつくるのだ。

その”逃げ”とは、仮に反論されたら、「いえ、ただ咳払いをしただけです」といえることだ。

直接相手に堂々と言葉で異議を唱えたり、注意喚起をすることができない人間がする逃げの手法といえよう。

なので、かなり強引に威嚇している割には、実は威嚇的咳払いをしている人間は小心者や臆病者、自意識過剰の自惚れ屋である場合が多い。

小心者や臆病者だから、言い逃れができる威嚇的咳払いをするのだ。

もう1つは、配慮やマナーに欠ける、無神経な人間がしている咳払いの可能性もあるということだ。

例えば、図書館で大きなくしゃみをしたら、それは周囲への配慮が足らない、デリカシーのない人間の烙印を押される。

それと同じように、周囲への配慮が足らない咳もあるということだ。

それは図書館という限定した場所だけにとらわれない。

周囲の人間との関わりの中で、相手の人間が迷惑に思うのであれば、図書館以外の空間でも十分に周囲の人間に対し配慮する必要があり、マスクせずに大きな咳をすることは「エチケット違反」や「マナー違反」になるのだ。

威嚇的咳払いは、現代ニッポンの悪習

まっとうな躾や教育を受けてきた人間ならば、こうした先に”喧嘩を売る”威嚇的咳払いをするはずがないのだが、現代ニッポンでは、こうした咳ハラスメントをする輩が増殖しているようで、あなたの職場にもいるかもしれない。

これは、まさに現代ニッポンの悪習と言ってもよいだろう。

混雑した電車から降りる際に「すみません、降ります」というのが当たり前のはずなのに、威嚇的咳払いを1つを”カマし”て、「降りるからどけよ!」という態度を取る人間が増えているのは、礼儀正しい日本人という評価とは真逆のものだ。

今後インバウンドの増加により、外国人の訪問客数や居住者数が増えてくるが、「なんだ、日本人は、実はそんなに礼儀正しくないじゃないか!」、「日本人は、ストレートに言葉で言わずに、威嚇的咳払いをして、相手に異議を唱えるのか、脅すのか!」、「日本人はエチケットやマナーができていないな」と外国人がガッカリすることがないよう、日本人自身の礼節が益々問われることになるだろう。

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099