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トラブル多いがん保険【連載:アキラの着目】

最近トラブルが多く報告されているのが、がん保険だ。

毎月せっせと保険料を支払って、いざがんになったら、保険金が下りると思っていたら、「適用外」等で保険金が下りないケースが後を絶たない。

がん保険

今や日本人の「2人に1人」ががんにかかる時代で、その受け皿としてのがん保険のはずなのに、なぜこうしたトラブルが後を絶たないのだろうか。

がん保険の保険金が下りないケース

1.「上皮内がん」には保険金が出ない

まず最初のがん保険の保険金が出ないケースとして挙げるのは、「上皮内がん」と呼ばれる初期がんにかかっている場合だ。

通常の新しいがん保険では、大抵のがんをカバーするのだが、「上皮内がん」(別名「上皮内新生物」には保険金が出ない、あるいは一時給付金が減額される商品がある。

この「上皮内がん」は、胃や子宮頸部、皮膚など粘膜のような上皮内に留まっている初期がんで、どの部位にも腫瘍ができる可能性があるのだが、1番の問題は、「上皮内がん」という判断を下す基準が、医師によって異なり、あいまいであることだ。

つまり、診断する病理医によって、保険金が出るか出ないかが決まってしまうのだ。

こうした初期がんではなかなか保険金が出ないことが多く、保険金が出るには初期がんを進行がんにすれば出るのだが、わざわざ早期治療できるがんを放置して、進行がんに悪化させてから治療するなんてことは愚の骨頂だ。

2.「責任開始日」よりも前だと保険金が出ない

保険金が出るタイプのがん保険に加入していたとしても、「責任開始日」よりも前の期間だと、保険金が出ないというケースだ。

大抵の場合、がん保険加入後90日以内にがんが発覚した場合は、保険金が出ない。

初期がんでは自覚症状がないため、自分は健康だと思い、がん保険に入ったものの、その翌月に健康診断でがんが発覚。

すでに保険料の支払いが始まっているのにもかかわらず、責任開始日前ということで、保険金が出ないのだ。

3.入院なら出るが、通院なら保険金が出ない

がん保険にも様々なタイプがあり、加入時によく規約に目を通していないと、引っかかってしまうのが、このタイプだ。

入院治療だと診断給付金が出るのだが、通院治療では医師の診断書があっても、診断給付金が出ないというがん保険があるので、注意が必要だ。

これもまた、診断給付金をもらいたいばかりに、入院治療に切り替えるのはナンセンスだ。

4.過去の病歴や現在の健康状態の申告漏れによる「告知義務違反」で保険金が出ない

がん保険に加入するには、過去の病歴や現在の健康状態を申告しなければいけないが、がん保険加入後にそれらの申告漏れが発覚すると、「告知義務違反」となり、保険金が出ない。

5.自由診療のワクチン治療で保険金が出ない

公的医療保険制度の給付対象となる3大治療(手術・放射線治療・抗がん剤治療)を受けた場合に、治療給付金が支払われるタイプのがん保険に加入していると、公的医療保険制度の対象から外れた自由診療のワクチン治療では、保険金が出ない。

医師の方から新薬のワクチンを勧められ、それで治療したものの、新薬のワクチンは自由診療であることが多く、保険金が出なかったりするのだ。

まとめ

保険会社は慈善事業ではなく、金融業であることをしっかり認識しておくことだ。

保険会社にとって最も儲かるパターンというのは、多くの保険料が入り、保険金としての支払いがないことだ。

保険会社にはその前提があるので、極力保険金を支払わなくて済むような仕組みやシステムありきになっていることを理解しておこう。

がん保険料のやりくり

また、保険商品の許可を出す金融庁としては、がん保険契約者が損するかどうかということよりも、保険会社を破綻させないことの方がはるかに重要であることも頭の隅に入れておこう。

がん保険に加入する場合は、がんという診断確定のみで給付金が出る商品に加入しておくことも重要だ。

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099