アベノミクスの実体とは?【連載:アキラの着目】

ここ4、5年の間、ニュースやワイドショーでやたらと耳にする「アベノミクス」(以下文中では「」を取ってアベノミクス)。

アベノミクスによって景気が上向いているとか、アベノミクスによって輸出産業が云々、といったことがいわれているが、実際のところアベノミクスとはどのようなものなのか、アベノミクスの実体について取り上げてみる。

アベノミクスの実体は株価上昇策

アベノミクスには「三本の矢」とよばれる政策があるとか、「第四の矢」とよばれる政策もあるだのといわれているが、アベノミクスの実体は一言でいうと、株価上昇策だ。

株式

その株価上昇策とは、我々国民から集めた公的年金積立金を使って、年金積立金管理運用独立行政法人(=GPIF。以下文中表記はGPIF)や日銀が株・国債を購入して、株価を吊り上げる手法だ。

具体的には、GPIFや日銀が、500兆円といわれている株式市場に、公的年金積立金の総額130兆円のうちの25%を株式投資するもので、こんな強引な力業をすれば、誰がどう考えても株価が上昇するに決まっている。

そもそもなぜ株価を吊り上げるのか

そもそもなぜ株価を吊り上げるのかというと、「株価が上昇してるから、世の中の景気が良くなってきているよ!」という演出をするためだ。

だから、一部の投資家や企業だけが株価上昇による恩恵を享受し、一般の我々国民は景気の良さを実感できないのだ。

国家ぐるみの”博打”は必要ない

GPIFや日銀が、我々国民が積み立てた年金用の金を使って、株・国債を購入し、黒字運用をしているのならまだ許せるかもしれないが、2015年度の公的年金積立金運用損益が5兆3,098億円の赤字を計上する有様で、昨年2016年は7兆9363億円の黒字だったものの、こんな勝ったの、負けたのといった”博打”を、国家ぐるみでやる必要があるのかと。

こうした冒険的な資金運用は、さっさとやめるべきなのではないか、といった意見が出るのも無理はない話だ。

公的年金積立金運用損益で将来の年金支給額に影響あり!?

我々国民が積み立てた年金用の金は、GPIFと日銀による”博打”に使われていることから、今後もし年金用の金を損失し続けると、将来的には我々国民への年金支給額にも影響が出るだろうといわれている。

実際にその件について昨年2016年2月の衆院予算委員会で、安倍総理自身が「(公的年金積立金運用における株式投資で)想定の利益が出ないなら、当然(年金の)支払いに影響する。給付に耐える状況にない場合は、給付で調整するしかない」と語り、公的年金積立金の株式運用の状況次第によっては、将来の年金支給額が減額されることを示唆した。

「国民のみんなから集めた公的年金積立金は、株で擦っちゃったから、さらに増税するぞ!」という状況に今後ならないことを祈りたい。

以上、アベノミクスの実体を述べたが、我々から集めた公的年金積立金を使うものだったことが理解されたことかと思う。

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099