昨年2020年11月6日にグランドオープンした「ところざわサクラタウン」。
KADOKAWAと埼玉県所沢市の共同プロジェクト「クール ジャパン フォレスト(COOL JAPAN FOREST) 構想」が手掛けた大型複合施設だ。
その「ところざわサクラタウン」には様々な施設があるが、石造りで斬新なデザインの角川武蔵野ミュージアムが一際異彩を放っている。
美術館・博物館・図書館それぞれの機能を網羅するという前人未到のプロジェクトによって造られたがゆえに、リアルとバーチャルを行き来する複合文化ミュージアムになっており、高さ8メートルの巨大本棚に囲まれる「本棚劇場」はまさにそれを具現化したものだ。
他には、2階エントランスから入りショップに向かうと、その入り口には黄金の光を眩いばかりに放つウルトラマンが何体も並んでお迎えしている。
誰もが知る有名な特撮ヒーローのウルトラマンは、我々の知る限りではファイティングポーズを取っているものが圧倒的に多いが、ここに並ぶウルトラマンは皆、座している。
黄金で座しているともなれば、仏様以外に存在しないはずなのだが、この角川武蔵野ミュージアムにはしっかりと黄金で座しているウルトラマンが存在しているのだ。
これはどういうことなのかというと、この黄金に光り輝く座したウルトラマンたちは仏様でもあるということなのだ。
その名も「ウルトラブッダ(2010)」。
これら黄金の座したウルトラマンたちを制作したのは、日本人とオーストラリア人によるアーティストユニット「米谷健+ジュリア」。
「米谷健+ジュリア」はこれまでに環境問題や社会問題をテーマに、素材を活かしたインスタレーションやパフォーマンス、写真、映像、立体など多様な表現を行なっており、ヴェネチア・ビエンナーレのオーストラリア代表(2009)の1組として選ばれ、「シンガ ポールビエンナーレ 2013」(シンガポール国立美術館)、個展「The Last Temptation」(2015、オーストラリア国立美術館)、「ホノルル・ビエンナーレ2017」などといった海外の芸術祭、美術館で活躍してきた。
いよいよ明日はグランドオープン!
最後のカウントダウンパーソンは、米谷健さんとジュリアさん。製作されたウルトラブッダの前でパチリ。
4階「エディット&アートギャラリー」では、グランドオープン記念としてお二人の個展「米谷健+ジュリア展 だから私は救われたい」を開催いたします! pic.twitter.com/WyMGejaxmQ— 角川武蔵野ミュージアム (@Kadokawa_Museum) November 5, 2020
オーストラリアの一般家庭(特に裕福層)では、インテリアの1つとして仏像(中近代あたりの遺物が多い)を飾る習慣があり、その習慣に違和感と興味を覚えたことから「ウルトラブッダ(2010)」を制作し始めたとのことだ。
仏像に代わる偶像の創作を模索していた時に、日本の偉大な特撮ヒーロー・ウルトラマンとの折衷を閃いた。
お金にまみれ、疲弊した現代社会において、人は裕福であろうがなかろうが、精神的な安らぎや救済を求め、脱人類的あるいは宇宙的観点を備えた超人の来迎、また己の解脱を願ってはいないだろうかと思い、その象徴として「ウルトラブッダ=超仏陀」を制作したとのことだ。
ウルトラマンは、怪獣や宇宙人による直接的な破壊から人類を救済してきた存在。
角川武蔵野ミュージアムに座しているウルトラマンたちは、我々人類に精神的な安らぎを与えるために、精神的な救済をするために我々人類の前に登場してきた存在なのだ。
■ウルトラブッダ – Ken + Julia Yonetani 米谷健+ジュリア
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