毎年この時期になると、筆者が訪れる古刹がある。
それは、埼玉県比企郡ときがわ町の山にあり、坂東三十三観音霊場第九番札所になっている慈光寺(埼玉県比企郡ときがわ町)だ。
この慈光寺の歴史は古く、天武天皇の二年(637年)に千手観音堂を建て、観音霊場として開基し、奈良時代になってから鑑真和上の高弟、釈道忠によって創建された。
筆者の姪っ子がこの近辺に住んでいることから、筆者はこの3年間は毎年慈光寺を訪れている。
東松山方面から県道172号線で来た場合は、「宿(しゅく)」交差点を「慈光寺→」の看板通りに右折し、そのまま道なりに登ってゆく。
すると、「慈光寺駐車場」という看板と駐車場が出てくるが、さらに奥へ登ると、もっと広い駐車場が現れるので、そこに駐車しよう。
急な階段の参道を登ると近道だが、怖くて登れない人は、右手の車も通行できるアスファルトの幅広な道で登ろう。
筆者は急な階段で登った。
階段の途中から下を見下ろすと、↓な眺めだ
さらに階段の残り半分を登ると、慈光寺境内および本堂が視界に入ってくる。
まずは階段上り口の右側にある手水舎で、手と口を濯ぎ清めてからお参りするのがごく自然な参拝手順だ。
本堂の前にある縄で鐘を叩き、それから賽銭を入れてから、お祈りしよう。
本堂の天井を仰ぎ見ると、綺麗に彫られた白馬や柱を支える木組み、また欄間などを観ることができる。
本堂はグルリと1周廻ることができるので、廻ってみよう。
たまたま筆者が廻った時は、風に揺られて落ちた銀杏の実を採取していた老夫婦がいた。
それを見た筆者は、自分も銀杏の実を採取しようと、負けず嫌いの魂に火がつき、銀杏の実を拾い始めたのだった。
銀杏の実は、写真のように地面に落ちている。
この銀杏の実を丹念に手作業で1つ1つ拾っていくのだが、侮ってはいけない。
銀杏の採取について熟知しない人が多いかと思うので、一応説明しておくと、銀杏の実は独特の異臭を放つだけあって、実から出る汁もかなりきつい。
直接皮膚に触れると、皮膚がかぶれたりするので、使い捨て手袋か軍手が必要だ。
これがあれば、銀杏の実の汁は怖くない。
しかし、銀杏の実は枝から落ちているとはいえ、いまだ”呼吸”はしているので、目がシバシバする。
玉ねぎのスライスで涙が出てきてしまうほどの強烈な刺激はないが、目がシバシバすることもあるので、覚悟しておこう。
40分くらいだろうか、バケツ1杯半とスーパーのレジ袋で1袋分の銀杏の実を採取することができた。
昨年の場合は10月下旬に採取し、数量的にあまり満足できなかったのだが、今年は雨天が続いたこともあり、採取に訪れる人が昨年ほど多くなかったのか、銀杏の実がかなり残っており、たくさん収穫できた。
採取した銀杏の実は、古新聞紙に並べて、しばらくの間、乾燥させ、それから外側の実と種子部分とに分ける。
もちろん種子の方を食べるので、実は捨てる。
種子の方は、硬い殻で覆われているので、この殻を砕き割り、中の柔軟な部分のみを茶碗蒸しに入れるなり、電子レンジで加熱するなりして食べるとなかなかイケる。
慈光寺は、都心からだと関越自動車道を使えば、2時間くらいでたどり着けるかと。
名の知れ渡った観光地ではないので、人混みを避けたい人や、未開的な雰囲気を味わいたい人には、ぜひともおすすめだ。