「羅臼昆布」タグアーカイブ

貴方は知っている?利尻昆布、日高昆布、羅臼昆布、真昆布のちがい【連載:アキラの着目】

2013年12月に日本人の伝統的な食文化である和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたのを機に、「UMAMI」にも関心が集まり出している。

その「UMAMI」を支えている昆布について取り上げたい。

昆布は、日本では14属45種、全世界では、北半球で26属、南半球で9属が生育している。

日本に限っていうと、ほとんどの昆布は北海道から収穫され、国内生産量のほぼ95%に相当する。

昆布の生育環境が、昆布の様々な区分に影響されるため、昆布の産地がそのまま銘柄となる。

昆布の成育分布だが、寒流(北海道における太平洋の親潮)が流れる沿岸部では、長昆布、日高昆布、羅臼昆布等、対馬暖流の北上する日本海沿岸や、オホーツク海沿岸は細目昆布、利尻昆布、また暖流と寒流が交錯する噴火湾から津軽海峡の沿岸には真昆布が成育している。

利尻昆布、日高昆布、羅臼昆布、真昆布をざっくりと一言でいうと、利尻昆布はクセがない香りとうまみが強いだし、日高昆布は磯の香りが強く、風味やうまみが弱めのだし、羅臼昆布は風味もうまみも強いだしで、真昆布は上品な香りと澄んだうまみのだしとなる。

羅臼昆布は、比較的他の昆布に比べ、うまみが強いといわれている。

北海道の昆布北海 道漁業協同組合連合会HPから引用
北海道の昆布北海 道漁業協同組合連合会HPから引用

では、これら4つの昆布、利尻昆布、日高昆布、羅臼昆布、真昆布を個別に詳しく見ていこう。

京都の会席料理に好んで珍重される利尻昆布

利尻昆布は、稚内市、利尻島、礼文島といった北海道道北地方で収穫される昆布だ。

岩礁地帯の水深1~7mに生育し、細長い笹の葉状の成長した葉は、長さ1.5~2.5m、最大で3m超にもなり、円柱状の茎は、長さ5~9cm、直径5~10mmになる。

利尻昆布の寿命は2年で、2年目の5~6月に1日あたり約1.6cmも伸びて、長さ、重量とも最大となり、6~11月にかけて収穫される。

特に利尻島産・礼文島産の利尻昆布は「シマモノ」と呼ばれ、特に京都の会席料理に好んで珍重される。

それというのも、味が濃く香りも高い澄んだだし汁は、高級料理やお吸い物、鍋物に適しているからだ。
上品な味が京料理に欠かせない高級コンブ

また、京都名物の千枚漬け、湯豆腐等にも重用される。

昆布巻や佃煮等万能に使える日高昆布

学名を「三石昆布」という日高昆布は、その名の通り三石(みついし)町のある日高地方で収穫される。

水深10~15mで成育する日高昆布は、長さ2~7m、幅6~15cmと狭く、波うちのないへりが特徴で、濃い緑に黒味を帯びている。

日高昆布は、肉質が柔らかいため、煮えやすく、味も良いので、煮物用をはじめとして様々な用途に使える万能昆布だ。

東京・名古屋等、関西以東地域ではだし用として、京都では昆布巻や季節の野菜との炊き合わせ、佃煮昆布として幅広く使用される。

香り高い濃厚なだしが取れる羅臼昆布

知床半島の羅臼地方沿岸で収穫される羅臼昆布は、20~30㎝の広い葉巾、1.5~3mの葉の長さで、さらに大きく成育することもある。

羅臼昆布は、さらに昆布表皮の色によって黒口(=黒色)、赤口(=赤褐色)に分類される。

見た目の立派さや味の美味しさから「だしの王様」、「昆布の王様」と呼ばれ、利尻昆布、真昆布と並び高級昆布として重用されている。

茶色く色づく出し汁が「だし汁がにごる」とのことで、素材の色を重要視する京料理ではさほど使われてこなかったものの、近年では、香り高い濃厚なだしが取れることから、料亭や一般家庭でも使われるようになり、佃煮、煮物、鍋物等に適している。

肉厚で最も代表的な真昆布

真昆布の収穫地は、北海道道南地方や青森県、岩手県だ。

真昆布は、水深7~8mで成育し、淡褐色の葉色で、葉の長さ1~8m、葉の幅は12~30cmと広くなり、下部で幅広いくさび形になって茎につながる。

天然物以外で「養殖(2年養殖)」、「促成(1年養殖)」があり、さらに「元揃昆布」、「本場折昆布」、「長切のし昆布」という仕立て方で分類され、また、切り口の色で、白口元揃(白色)と黒口元揃(黄色)に分類される。

最も代表的な良質の昆布である真昆布は、上品な甘味があり、透明なだしがとれることから、特に大阪での需要が多く、出し昆布、高級佃煮用(主に白口浜天然元揃)の他に、神社仏閣でのお飾り用や求肥昆布の原料(主に折昆布)等で、京都では祇園の料亭等で出し用に、佃煮用や昆布専門店のおぼろ昆布の原料用に、塩こんぶやとろろ昆布等の加工用に使われることもある。

最後に

それぞれの昆布毎に良さが異なるため、料理によって使い分けるのが良いだろう。

また、香りを主に据えるのか、色合いを主に据えるのか、それとも味わいを最も重視するのかでも使い分けることもできるだろう。

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099