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悪運・災いを退散させる、招き猫ならぬ「追い出し猫」(福岡県宮若市)【連載:アキラの着目】

日本では「商売繁盛」、「招福万来」を願って招き猫を飾る店や企業、家庭が多いが、その招き猫については、先日のニッポンニュースでも取り上げたばかりだ(2019年09月06日ニッポンニュース「中世城郭・世田谷城のあった招き猫発祥の地・豪徳寺(東京都世田谷区)【連載:アキラの着目】」)

今や世界でもその存在を知られるようになってきた招き猫がある一方で、なんと招くどころか追い払う仕種をする猫の置物があるのもご存知だろうか?

悪運・災いを退散させる、招き猫ならぬ「追い出し猫」だ。

福岡県宮若市の「宮若追い出し猫」 宮若追い出し猫HPから引用
福岡県宮若市の「宮若追い出し猫」
宮若追い出し猫HPから引用

追い払う仕種の猫だから、箒を持って眼光鋭い。

宮若追い出し猫の「大・桜ちゃん」の表側 宮若追い出し猫HPから引用
宮若追い出し猫の「大・桜ちゃん」の表側
宮若追い出し猫HPから引用

しかし実は、「追い出し猫」は表裏一体型の招き猫で、裏側は手招きでニッコリ顔なのだ。

宮若追い出し猫の「大・桜ちゃん」の裏側 宮若追い出し猫HPから引用
宮若追い出し猫の「大・桜ちゃん」の裏側
宮若追い出し猫HPから引用

災いを退散させるのが1番にあるので、表側は手招きではなく、追い出しなのだ。

この「追い出し猫」、平成8年1月から生産および販売が開始され、翌年の平成9年11月には「宮若追い出し猫振興会」が設立されており(89名)、置物としてはもうかれこれ20年以上の歴史がある。

宮若とは地名で、「追い出し猫」発祥の寺・西福寺がある福岡県宮若市のことを指している。

今から約400年ほど前に、この西福寺にはたいそう猫好きな和尚さんが住んでいた。

ある時、西福寺に一匹の大鼠が住みつき、寺の近隣を荒らし回っていた。

しまいには和尚さんにまで危害が及ぶようになり、見かねた飼い猫が数百匹もの仲間猫を召集し、大鼠と凄まじい戦いを繰り広げた。

翌朝、息絶えた大鼠と変わり果てた猫達の亡骸が見つかり、猫達を哀れんだ和尚さんが猫達のお墓を作り、いつまでも手厚く供養し続けたとのこと。

現在でも宮若が栄えているのは、この猫達が見守っていてくれるからだとも。

「追い出し猫」は、この伝説を元にして作られ、人から人へと口伝えに認知され、「悪運・災い退散」、「開運招福」のお守りとして親しまれ、現在に至っている。

縁起物なので、「追い出し猫」は当然機械による大量生産ではなく、1体1体丁寧に型抜き、型調整、素焼き、磨き、絵付け、等々の工程それぞれの職人さんによって手作りされている。

かなり珍しい「追い出し猫」も飾ると、さらに運気上昇するかも。

■宮若追い出し猫
http://oidashineko.com/

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099