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本家銘菓に”寄せた”ジェネリック菓子【連載:アキラの着目】

マルセイバターサンド 六花亭オンラインショップから引用ここ最近、インターネット上でチラホラ見かけるワードの1つに「ジェネリック菓子」がある。

なんだか聴き慣れないワードの「ジェネリック菓子」だが、意味はなんとなくわかろうというもの。

「新薬(先発医薬品)」に対しての「ジェネリック薬品(後発医薬品)」があるように、何かの菓子に対しての「ジェネリック菓子」なんだろうと。

「ジェネリック薬品(後発医薬品)」は、「新薬(先発医薬品)」の特許切れ後に販売され、新薬と同じ有効成分、同じ効き目であり、開発費・宣伝費等がかからないため、「新薬(先発医薬品)」に比べ廉価なのはご承知の通り。

「ジェネリック菓子」も後発であり、すでに前々から存在している日本全国の銘菓に”寄せて”製造された廉価な菓子なのだ。

もっと具体的にいうと、コンビニチェーン『セブンイレブン』で販売されている、ご当地銘菓にそっくりなPB(プライベートブランド)菓子をいつの頃からか「ジェネリック菓子」と呼ぶようになった、というのが正解に近いだろう。

前置きが長くなったが、そんな本家銘菓に”寄せた”ジェネリック菓子を、本家銘菓とともに取り上げてみる。

1.『白い恋人』(石屋製菓)のジェネリック菓子(!?)『ラングドシャホワイトチョコ』(セブンイレブン)

■ラングドシャホワイトチョコ – セブン-イレブン~近くて便利~

ラングドシャホワイトチョコ - セブン-イレブン~近くて便利~HPから引用
ラングドシャホワイトチョコ – セブン-イレブン~近くて便利~HPから引用

http://www.sej.co.jp/i/item/300407320557.html?category=188&page=1

■白い恋人 – 石屋製菓

白い恋人 - 石屋製菓HPから引用
白い恋人 – 石屋製菓HPから引用

http://www.ishiya.co.jp/item/shiroi/details/

『白い恋人』(石屋製菓)は、国内外でかなり知名度のある銘菓。

安くて、量が多く、また持ち運びの際に軽くて負担がかからないことから、定番の北海道土産となっている。

その『白い恋人』に”寄せた”ジェネリック菓子が、『セブンイレブン』で販売している『ラングドシャホワイトチョコ』だ。

サクサク感のある歯応えになるように焼き上げているところは、まさに『白い恋人』そのもののようだ。

2.『博多通りもん』のジェネリック菓子(!?)『ミルク餡まん』(セブンプレミアム)

■ミルク餡まん 3個入 | セブンプレミアム公式 セブンプレミアム向上委員会

ミルク餡まん 3個入 | セブンプレミアム公式 セブンプレミアム向上委員会HPから引用
ミルク餡まん 3個入 | セブンプレミアム公式 セブンプレミアム向上委員会HPから引用

https://7premium.jp/product/search/detail?id=5919

■博多通りもん|福岡・博多のお土産として大人気の博多名物のお菓子!博多西洋和菓子「博多通りもん」オフィシャルサイト

博多通りもん|福岡・博多のお土産として大人気の博多名物のお菓子!博多西洋和菓子「博多通りもん」オフィシャルサイトから引用
博多通りもん|福岡・博多のお土産として大人気の博多名物のお菓子!博多西洋和菓子「博多通りもん」オフィシャルサイトから引用

http://www.meigetsudo.co.jp/menubook/menubooks/view/1

中に詰まった白餡からくるずっしりとした質感と、ほんのりとミルクの香りが漂う『ミルク餡まん』(セブンプレミアム)は、これまた本家『博多通りもん』にかなり”寄せた”スイーツだ。

ただし、白餡はどのくらい本家に”寄せて”いるのだろうか。

3.六花亭『マルセイバターサンド』のジェネリック菓子(!?)『濃厚クリームのレーズンサンド』(セブンイレブン)

■セブンカフェ 濃厚クリームのレーズンサンド

セブンカフェ 濃厚クリームのレーズンサンド セブンイレブンHPから引用
セブンカフェ 濃厚クリームのレーズンサンド セブンイレブンHPから引用

http://www.sej.co.jp/i/item/300407321938.html?category=188&page=1

■マルセイバターサンド 六花亭オンラインショップ

マルセイバターサンド 六花亭オンラインショップから引用
マルセイバターサンド 六花亭オンラインショップから引用

https://www.rokkatei-eshop.com/store/CategoryList.aspx?ccd=F3000523&wkcd=F3000522-F3000523

これまた北海道土産の代表格である六花亭『マルセイバターサンド』。

歯がない人でも甘噛みでホロリと崩れる外側のビスケットは、バターの染み込み具合も最高で、いくつでも口に運べてしまう。

その六花亭『マルセイバターサンド』に”寄せた”ジェネリック菓子が、『濃厚クリームのレーズンサンド』(セブンイレブン)だ。

本家・六花亭『マルセイバターサンド』の形状が明らかな長方形であるのに対し、『濃厚クリームのレーズンサンド』は正方形にやや近い長方形だ。

形状は忠実に本家・六花亭『マルセイバターサンド』に”寄せて”いないが、味はどのくらい”寄せて”いるのか、やはり気になるところだ。

最後に

やはりセブンイレブンが、ここまで各地の銘菓に”寄せる”ことができるのは、自社の流通を抱えているからこそだろう。

当たり前といえば、当たり前のことだが、”寄せた”商品を売りさばける販売網があるから、製造できるのだ。

しかし、今後その”寄せ方”が極めて本家と寸分違わずくらいになると、本家の菓子メーカーは苦戦を強いられること確実だろう。

全国販売網を持つセブンイレブンが、廉価なジェネリック菓子を大量生産したら、本家の菓子メーカーは、コスト面でも量的な面でも、太刀打ちできそうもないからだ。

「全く同じ味ならば、安い価格のジェネリック菓子のほうでいいや」となったら、本家銘菓は売れなくなる。

セブンイレブンがどの程度まで本家銘菓に”寄せる”のかという「再現性」如何によっては、全国各地の銘菓は苦境に立たされるかもしれない。

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099

セブンイレブンは豊洲から始まった!【連載:アキラの着目】

「数あるコンビニチェーンの中で、蕎麦やそうめんはセブンイレブンのものが1番好きだな」
「セブンイレブンのアイスコーヒーが1番美味しい!」
「セブンイレブンはなんてったって、イトーヨーカ堂グループだから信頼高いよね」

これらは、筆者の周りにいる友人・知人の言葉なのだが、確かにそうだなと思えるフシがある。

私も夏場はあっさりした食べ物を、ということでコンビニの蕎麦を頻繁に買うのだが、様々なコンビニの蕎麦を意欲的に食べ比べしようとは思っていないのに、いつの間にか自分の中でコンビニ蕎麦のランキングができており、その1番はやはりセブンイレブンの蕎麦なのだ。

そんなコンビニ業界の雄・セブンイレブンを、それも1号店について取り上げてみたい。

今でこそコンビニ業界のトップであるセブンイレブンだが、展開当初は資金力が非力で、また当時はオイルショックによる物価高騰の影響を受け、出店費用が計画の2倍に膨らんだこともあり、開業時期が3年くらいしか違わないマクドナルドのような一等地への出店はとても無理な状況だった。

したがって、良い立地は入手できず、入手できたとしても手が出せないから、郊外型の立地にならざるを得なかったのだ。

そんな状況の時に、海のものとも山のものともつなかい、展開当初のセブンイレブンに手紙を出し、出店を直訴したのが豊洲の酒屋店主・山本憲司さんだ。

19歳の時に実父が他界した山本さんは、家族を養うために大学生でありながら家業の酒屋を継いでいた。

手紙を出すに至った経緯は、配達に明け暮れる酒屋は薄利で将来的展望がないから、ここは一丁コンビニという得体のしれないアメリカ生まれの流通業態に挑戦し、賭けてみようということからだった。

その結果、山本さんはセブンイレブン国内第1号店に選ばれ、1974年5月15日、東京都江東区豊洲4-6-1の地に、そのセブンイレブン国内第1号店が誕生したのだった。

セブンイレブン国内第1号店 画像提供:セブン&アイ・ホールディングス
セブンイレブン国内第1号店
画像提供:セブン&アイ・ホールディングス

今でこそ豊洲は高層マンションや巨大ショッピングモールがあり、”ファミリーの街”となっているが、この当時の豊洲は地下鉄有楽町線もなく、工場、倉庫、空き地しかない埋立地に過ぎなかった。

因みに開店初日、1番最初に売れた商品はサングラスだったそうだ。

1993年からセブンイレブン記念財団理事長も務めている山本さんは、長年のコンビニ経営から得たことを『セブン‐イレブン1号店繁盛する商い』という本を出したりもしている。

この著書には、今のコンビニでは当たり前となっていることが、セブンイレブン発祥であることも紹介されている。

例えば、
●「おにぎりと弁当を置きたい」といい出したのは鈴木名誉顧問
●お客様の立場に立つと、接客の現場ですべきことが見えてくる
●店の繁盛の成否は、需要があるのに店がそれに気づいていないから
●チェーン加盟店が増えれば、スケール・メリットも享受できる
などだ。

最後の「チェーン加盟店が増えれば~」は、特に興味深い。

店舗面積が狭いコンビニは、多くの在庫を置く場所がないため、当初は卸売業者に小分け配送してもらうしかなかったが、小規模店への少量配送など卸売業者は最も嫌がることだ。

そこで小規模店でも少量配送してもらうにはどうすればいいか。

その答えが、同じ地域にまとまった数の店舗を出店するドミナント戦略だ。

ドミナント戦略により、配送効率が上がり、コストが軽減された。

また、ドミナント戦略は同じ地域に多数出店するので、目立つ存在となり、顧客への認知度を上げる宣伝効果もあったのだ。

以上みてきたような、1酒屋店主のフロンティア・スピリットから第1号店はスタートし、それプラス、セブンイレブン上層部のアイデアや戦略によって、現在のセブンイレブンになったのだ。

マクドナルドやケンタッキーフライドチキンのような恵まれた環境からのスタートとは正反対なのに、成功しているのが面白い。

現在のセブンイレブン豊洲店 Google ストリートビューから引用
現在のセブンイレブン豊洲店 Google ストリートビューから引用
FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099