先の選挙で野党第一党にまで躍進した、枝野幸男代表率いる立憲民主党。
立憲民主党のメンバーは、元々民主党、そして民進党のメンバーであるのに、なぜ野党第一党にまで躍進できたのか、その要因を探ってみる。
立憲民主党躍進の最大要因は、立憲主義が評価されたから
様々なメディアが、立憲民主党の野党第一党への躍進要因をいくつも挙げているが、躍進の最大要因は、やはり党名にある通り「立憲主義」を貫く政策が、現状の強行的な保守勢力を良しとしない層に評価されたことだろう。
これを逆説的にいうと、現政権には「立憲主義」がない、という評価もあるということだ。
実際、現政権は、現在までに至る過程で、現行憲法とは解釈を異にする安保関連法や共謀罪法などを、十分な議論をせぬままに強行成立させたことがあった。
この背景には、多数決で決まったから何をやっても許されるのだ、多数派に支持されているんだから少数派の意見なんて切捨てていいんだ、という驕りがあったのではないかと見受けられる。
これに対し立憲主義というのは、多数派といえども間違うことがある、だから多数派の上に安定的な憲法というルール・規範を置き、万が一、多数派が専制的にやり過ぎたら、制限や縛りをかけて暴走しないようにしよう、というものなのだ。
こうした立憲主義を貫くという部分で評価されたことが、立憲民主党躍進の要因の1つといえるだろう。
では、立憲主義が評価された立憲民主党だが、選挙では具体的にどのような手法を駆使し、有権者を取り込んで行ったのであろうか?
次は、立憲民主党の具体的な選挙戦術をみていくことにする。
立憲民主党の選挙戦術
選挙も1つの戦とみるならば、普通のことをしていては勝てないわけで、必ず勝つための戦略なり戦術がある。
先の選挙における立憲民主党の躍進も、当然ながら勝つための戦術が存在し、それは簡単にいうと、SNSによる理念・政策の効率的かつ効果的な発信&拡散だ。
選挙活動の画像・動画は、常にSNS栄えすることを前提に撮影し、具体的には以下の手法を採用していた。
- 選挙演説では、候補者や枝野幸男代表を支援者が取り囲むような会場の設営をし、演説者(=候補者または枝野幸男代表)と支援者との距離を近づけることで、選挙演説に人が多数集まったような「絵」づくりをした
- 選挙演説の内容は、政党の理念、すなわち「立憲主義」を中心に据えた
- 選挙演説の動画は、拡散しやすいことを念頭に、長い分数の動画をあえて避け、30秒~1分程度の尺に編集した動画をまとめて発信するようにした
- これらSNSの発信担当は、民主運動で名を馳せた元SEALDs(シールズ)のメンバー達だった
- ハッシュタグ(=「#」)に使うワードは専門用語を極力避け、検索されやすく、拡散性の高い日常的ワードを使った
こうした地道なSNSによる発信&拡散の結果、立憲民主党の理念・政策はハッシュタグで検索に引っかかり、アクセスされ、そのアクセス者が実際に選挙演説を観に行く、という好循環が生まれたともいわれている。
枝野幸男代表に福運が到来したから
最後に挙げる、立憲民主党躍進の要因として、一部メディア・インターネット上でいわれているのが、枝野幸男代表が「福耳」で、そのため福運が到来したからだ、というのもある。
これはどこまで信憑性があるのか不明だが、参考までに取り上げておく。
まとめ
以上、立憲民主党の第一党躍進をまとめてみたが、民主党・民進党の出自でよくここまで躍進できたと思う。
選挙前のある時点においては、自民党と希望の党の一騎打ちになるのでは、と予想されたこともあったくらいだから、まさに大健闘といえよう。
その大健闘の影には、うまくターゲット層を取り込むための方針(理念・政策)や、戦術があったわけだ。
ジャンルは異なれども、手法や考え方は、他のジャンルでも応用が効きそうだ。