ハイレベルな城マニアにしか知り得ぬ情報満載、全国城郭研究者セミナー「徳川の城」【連載:アキラの着目】

中世城郭研究会や静岡古城研究会が中心となって開催される全国城郭研究者セミナー。

全国の研究者が集まり、全国的な視野で城郭を検討するのが目的だ。

全国城郭研究者セミナーはついに第37回を数え、今年のテーマは「徳川の城」。

中世城郭研究会 公式サイトから引用
中世城郭研究会 公式サイトから引用

セミナーの前半(第1日)は日本各地からの調査・研究報告、後半(第2日)はテーマ「徳川の城」に基づく発表があり、最終日8月29日(日)にシンポジウム(討論会)が行われる予定だ。

例年ならば第1日の夜に懇親会が開催されるようだが、コロナ禍の今年2021年は懇親会はなしとのことだ。

「徳川の城」というテーマはかなりマニアックかなと。

ちょっと城に詳しくなったファンやマニアは、武田の城や北条(=後北条)の城に夢中になることが多く、徳川の城はどうしても前述した武田の城や北条の城よりも先に興味の対象となりにくく、人気にはなっていないからだ。

武田の城や北条の城は「馬出し」といわれる攻防両用に秀でたエリアに特徴があったり(武田の馬出しは「丸馬出」、北条の馬出しは「角馬出し」)、堀の築き方にも特徴があったりで、見た目で区別ができるほどの独創性を兼ね備えており、そこが興味を惹かれやすい部分だ。

一方、徳川の城は、江戸開府後に整備された江戸城については壮大なエリアを取り込み、鉄壁な防御を敷いている文句のつけようのない城ではあるが、戦国期だと前述した武田・北条の城に比べて普通っぽく見えてしまうのだ。

なので、一見特徴がなさそうな徳川の城でも「実は○○なんですよ」という、ハイレベルな城マニアにしか知り得ぬ情報や知識を今回の全国城郭研究者セミナーで掘り下げてくれるのだ。

徳川の城についても詳しくなれば、貴方は他の城マニアよりも一歩先んじて、一目置かれること確実だ。

【第37回 全国城郭研究者セミナー 徳川の城 日程とプログラム】

■8月21日(土)~29日(日)

調査・研究報告

A。栃木県那須地域慶長5・6年の徳川方の防衛線-那珂川支流箒川南岸の城郭群 小川 英世(中世城郭研究会)
B。日野城と呼ばれた二つの城-近江国の蒲生氏城郭 振角 卓哉(日野町教育委員会・城郭談話会)
C。備前・備中国境目領域の城郭群-岡山県中世城館跡総合調査の成果から 和田 剛(岡山県古代吉備文化財センター)
D。小牧長久手の戦いと徳川・羽柴氏の関係 谷口 央(東京都立大学人文社会学部教授)
E。はありません(欠字)
F。史跡 安宅氏城館跡-熊野水軍の城館群 佐藤 純一(白浜町教育委員会)
  テーマ報告 「徳川の城」
G。テーマ「徳川の城」趣旨説明 山本 浩之(中世城郭研究会)
H。家康の掛川城攻めと陣城-永禄末期の家康の攻城戦について考える 望月 保宏(静岡古城研究会会長)
I。はありません(欠字)
J。浜松城跡における近年の発掘調査成果について 川西 啓喜(浜松市役所市民部文化財課)
K。駿府城跡天守台発掘調査報告 増山 慎(静岡市観光交流文化局歴史文化課)
L。天正期の駿府築城に関する文献的考察 前田 利久(静岡県地域史研究会幹事・清水国際高校副校長)
M。徳川家康と城-浜松移城 平野 明夫(國學院大學兼任講師)
  テーマ関連報告
N。徳川家康最晩年の隠居構想と泉頭城普請をめぐる諸大名の動向 [紙上報告] 大嶌 聖子(淑徳大学アーカイブズ)
O。三河支配期の徳川氏城郭 髙田 徹(城郭資料研究会・城館史料学会)

■8月29日(日)14:00~16:00

パネル討論「徳川の城」

司会:山本 浩之(中世城郭研究会)

【第37回 全国城郭研究者セミナー 徳川の城 詳細】

・日程:2021年 8月21日(土)~29日(日)
(1)21~29日 資料の配送後、ビデオの配信
(2)29日14:00~16:00パネル討論会
・開催方法:オンライン
・参加申込締切:7月14日
・主催:第37回 全国城郭研究者セミナー実行委員会、中世城郭研究会
・共催:静岡市、静岡古城研究会

■全国城郭研究者セミナー 2021 Seminar
https://www.komazawa-u.ac.jp/~kazov/chujoken/semi2021/

■第37回 全国城郭研究者セミナー 徳川の城 開催要項
https://www.komazawa-u.ac.jp/~kazov/chujoken/semi2021/program.pdf

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099