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城マニア垂涎の1冊『日本のお城 縄張図集』【連載:アキラの着目】

ここ最近でかなり増加してきた城マニア。

一口に城マニアといえども、天守のある城だけを巡る人もいれば、天守なしの城やかつての城下町や総構えの内側をも丹念に巡る人もいる。

後者の城マニアの場合、「縄張図」という城のレイアウト図を見ながら巡ることが多く、その縄張図があるとかなり重宝するのだ。

有名な城ならば、案内図や縄張図が確実にあるので、それを見ながら城を巡ることができるのだが、それほど有名ではない城だと縄張図がないことがあったり、見つけにくいことがある。

そうなると、”手探り状態”で城を巡ることになるのだが、効率が悪いのだ。

そんな城マニアにとって重要な縄張図、それも多くのマニアックな城ばかりの縄張図集が自費出版された。

それが『日本のお城 縄張図集』(渡邉敬 著 山城出版)だ。
『日本のお城 縄張図集』(渡邉敬 著 山城出版)

今から18年前に50の手習いならぬ60の手習いで始めた縄張図描きが、80歳を迎える今では描きためた縄張図が430城を超えるまでに。

毎年恒例の「城郭研究者セミナー」での情報公開コーナーでその年に描いた縄張図を発表するも、城マニアの先輩方から「このまま城の縄張図が埋もれているのはもったいない。ぜひ縄張図集として出版すべき!」と勧められ、満を持しての書籍化となったのだ。

1頁1頁繰ると、城マニア大好物の城ばかりが出現する。
『日本のお城 縄張図集』(渡邉敬 著 山城出版)

まさに『日本のお城 縄張図集』は城マニア垂涎の1冊だ。

この『日本のお城 縄張図集』さえあれば、城の縄張がわからずただやみくもに歩き回って藪で立ち往生することもなくなり、実に効率的に城の造りを把握することができる。

ちなみに、『日本のお城 縄張図集』に掲載されている城郭は、北は北海道から南は沖縄までの全国津々浦々で、日本中の城マニアが満足すること確実だ。

【都道府県別 掲載城館名】

●北海道
桂ヶ岡チャシ、倉栄チャシ、アオシマナイチャシ、タブ山チャシ、カムイチャシ、館山チャシ、志海苔館、勝山館

●青森県
湯口茶臼館、真言館、浪岡城、石亀館、黒土館

●岩手県
一戸城、江刺家館、小国館、岩崎城、上須々孫館、立花高館、唐梅城

●秋田県
大湯城、小平館、羽後松山城、鎧ヶ崎城、八反田城、田代城

●山形県
金山城、愛宕山城、太郎田館、判兵衛館、小国城、清水城、次年子楯、河島山遺跡、小国城、中山城

●宮城県
大瓜城、大窪城、村田館、古屋館、荒山城、三沢城、柴小屋館、金山城

●福島県
新地城、比丘尼館、大森館、白土城、鯨岡館、下宿御所館、宇津峰城、大寺城、小屋山館、三森館、赤館城、関ノ森城、一夜館、三坂館、中丸館、赤坂館、上遠野城、東館、桑折西山城、大鳥城、檜原城、松山城、長沼城、九々布館、久川城

●新潟県
小野城、米山寺城、長峰城、荒砥城、京ヶ岳城、箕冠城

●富山県
銀納砦、海老瀬城、桑山城、西勝寺城

●石川県
萩城、松波城、二穴城、和田山城、鷹巣城、朝日山城

●福井県
越前大野城、戌山城、小山城、朝倉山城、細呂木館

●茨城県
車城、東野城、山入城、天神山城、田渡城、宇留野城、御前山城、上入野城、古徳城、足崎城、金上城、久下田城、橋本城、谷貝峰城、館岸城、小幡城、大館・小館、飯塚城、金田城、下小池城、小坂城、木崎城、楯ノ宮館、相賀城、木原城、林外城、守谷城、長山城

●栃木県
芦野城、伊王野城、岩谷要害、佐久山城、武茂本城、武部城、武茂西城、新地館、金枝城、下川井城、勝山城、千本城、茂木城、犬飼城、児山城、多功城、神楽ヶ岡城、箕輪城、皆川城

●群馬県
宮野城、明徳寺城、長井坂城、棚下砦、白井城、箱田城、鷹留城、膳城、五覧田城、大胡城、山名城、根小屋城、麻場城、内匠城、真下城

●埼玉県
猪俣城、金尾要害山城、高見城、杉山城、山田城、松山城、菅谷城、箕田の城山、大築城、大堀山城、柏原城、岡城、滝之城、勝楽寺城、三峰城

●東京都
深大寺城、小野路城、小山田城、片倉城、今井城、勝沼城、枡形山城

●千葉県
松ヶ崎城、根戸城、増尾城、佐津間城、長沼城、東和泉城、矢作城、山崎城、森山城、須賀山城、見広城、八日市場城、飯高城、久方城、本佐倉城、高田山城、師戸城、飯重城、鹿渡城、立堀城、山室城、坂田城、田間城、犬成城、真里谷城、三直城、富津砲台、千本城

●神奈川県
小沢城、茅ヶ崎城、小机城、篠原城、深見城、上ノ山城、大矢部城、新井城、大庭城、河村城、湯坂城、土肥城

●山梨県
谷戸城、笹尾砦、獅子吼城、中山砦、白山城、牧野砦、駒宮砦、真篠砦

●長野県
後谷城、野尻新城、割ヶ岳城、古海城、壁田城、替佐城、雁田城、大倉城、小柴見城、寺尾城、飯田城、中山城、平尾城、城ヶ峰、妻籠城、田草城、式部城

●静岡県
上山田山陣城、韮山城、大見城、鎌田城、柏久保城、狩野城、大沢城、下田城、葛山城、

●葛山館、千福城、戸倉城、勝間田城、千頭峯城

●愛知県
日近城、慈眼寺館、下り地城、山中城、西川城、岩略寺城、和田城、二連木城、赤岩城、船形山城

●三重県
柚井城、治田城、保々西城、城山城、鹿伏兎城、宮山城、稲垣城、五箇所城、福地城

●岐阜県
広瀬城、篠脇城、加治田城、大森城、小原城、今城、松尾山城、前田砦、細野城、長山城、明智城

●滋賀県
賤ヶ岳砦、長比城、佐生城、布瀬山城、佐久良城、土山城、上野城、和田城、後藤氏館

●京都府
吉原山城、溝尻城、堂奥城、佐武嶽城、館城、高津城、中尾城、平山城、丹波城、直見城、大戸城、日置谷城

●大阪府
山辺城、野間城、野間館、安威砦、高安山城、金胎寺城、烏帽子形城、上赤阪城、稲葉城、根福寺城

●奈良県
菅生城、岡西山城、本郷城、本郷東城、赤埴城

●和歌山県
尾崎城、霜山城、今城山城、皮張城、志賀城、平岩城、南山城、神田城、手取城、高城山城

●兵庫県
竹田城、小谷城、荒木城、篠ノ丸城、長水城、上月城、下土井城

●岡山県
爪ヶ城、矢櫃城、高山城、尼ヶ城、林野城、矢櫃城、日上山城、小田草城、神楽尾城、嵯峨山城、州前城、、竹山城、荒神上陣城、楽万上陣城

●鳥取県
上ノ山城、二上山城、妙見山城、田内城、富長城、小松城

●広島県
渕上城、阿草城、桜山城、梨羽城、木村城、茶臼城

●島根県
土居城、茶臼山城、賀田城、石見城、鵜丸城、矢羽城、津和野城

●山口県
岩国城、若山城、萩城、高峰城、勝山御殿

●香川県
引田城、六車城、黄峰城、九十九山城、沙弥城山

●愛媛県
岡城、黒瀬城、大除城

●高知県
岡豊城、大津城、古井の森城、泰泉寺城

●徳島県
脇城、重清城、上桜城、吉田本城

●福岡県
松山城、馬ヶ岳城、戸城山城、花尾城、白山城、黒木城、犬尾城、覗山城

●佐賀県
三瀬城、獅子ヶ城、住吉城、須古城

●長崎県
梶谷城、鳥屋城、井手平城、平松城

●熊本県
山ノ井城、焼米城、神尾城、梅尾城、飛隈城

●大分県
妙見嶽城、烏帽子岳城、小牟礼城

●宮崎県
倉岡城、梅北城、六ヶ城

●鹿児島県
西原城、加瀬田城、手取城

●沖縄県
伊波グスク、座喜味グスク、勝連グスク、浦添グスク、玉グスク、具志川グスク

●大韓民国
釜山支城台城、亀浦城、梁山城、馬山城、永登浦城、南海城、順天城

さあ、この『日本のお城 縄張図集』の縄張図を元に全国の城へ繰り出そう!

【日本のお城 縄張図集 詳細】

・タイトル:日本のお城 縄張図集
・著者:渡邉敬 作図・編集
・著者標目:渡邉, 敬
・出版地(国名コード):JP
・出版地:横浜
・出版社:山城出版
・出版年月日等:2019.12
・大きさ、容量等:436p ; 30cm
・ISBN:9784991110313
・価格:6000円
・ISBN(エラーコード):978-4-9911103-1-1
・出版年(W3CDTF):2019
・対象利用者:一般
・資料の種別:図書
・言語(ISO639-2形式):jpn : 日本語

■日本のお城 縄張図集
http://jcastles.jp/shop/shop.htm

■日本のお城縄張図集 (山城出版): 2019|書誌詳細|国立国会図書館サーチ
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I030160340-00

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099

山中城の障子堀を模った名物「障子堀ワッフル」(静岡県三島市)【連載:アキラの着目】

最近は、戦国武将ブームや刀剣ブーム同様に、城郭もブームとなっている。

城郭も様々で、ザックリ大別すると天守なし、天守ありに分類できる。

天守なしの城郭は大概、中世に造られた「土の城」がほとんどで、石垣はないが高い土塁と深い堀を郭(曲輪ともいう)の周りにめぐらせた防御体制をとっている。

堀も、水を張った水堀もあれば、水のない空堀もある。

さらに空堀でも、北条氏(=後北条氏)が得意とした畝堀や障子堀といった、堀の中に仕切りを構築したものがある。

なぜ堀の中に仕切りを入れているのか。

1つ目は、堀の中に仕切りを入れることで、堀に侵入した者は横に移動できなくなる。

横に移動できなくなった敵は、弓矢や鉄砲で命中しやすくなるのは言うまでもない。

2つ目は、堀の中に仕切りを入れることで、仕切りを歩く敵をこれまた命中しやすくなる。

つまり、敵が堀底にいても、仕切りの上にいても、どちらでも敵を命中しやすくなるという利点があるのだ。

だから、こんな理にかなった、そしてなおかつ見た目が斬新な障子堀は、城郭マニアの”大好物”なのだ。

そんな障子堀は、見た目が菓子のワッフルそっくりだ、と以前から言われ続けていた。

じゃあ、実際に作って発売してみるか、日本百名城である山中城の魅力をより多くの人に発信するために、山中城の障子堀に見立てた「障子堀ワッフル」を。

というわけで、山中城名物「障子堀ワッフル」が常設販売となったのだ。

山中城名物「障子堀ワッフル」 三島市HPから引用
山中城名物「障子堀ワッフル」
三島市HPから引用

「障子堀ワッフル」を手に持って、障子堀を背景に撮影すれば、インスタ映えすること間違いない。

山中城障子堀をバックに撮影した山中城名物「障子堀ワッフル」 三島市HPから引用
山中城障子堀をバックに撮影した山中城名物「障子堀ワッフル」
三島市HPから引用

【障子堀ワッフル 販売情報】

・販売店舗:山中城跡案内所 売店(静岡県三島市山中新田410-4)
・電話:055-985-2970
・営業時間:午前10時~午後4時
・定休日:月曜日(月曜日祭日は営業で翌日休み)

■障子堀ワッフル発売中!三島市
https://www.city.mishima.shizuoka.jp/kanko_content034333.html

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099

山城巡りの必需品、熊よけ鈴「城めぐリン」(消音機能付)【連載:アキラの着目】

近年の温暖化が原因で、山では木の実等が減少しており、食べる物がない熊は人の活動圏に入ってくることが多くなった。

それは山城にも当てはまり、今年は特に熊の出没情報が多かったのだ。

山城巡りの”旬”は、降雪前の冬なのだが、余裕をもって初秋に山城巡りをすると、まだ冬眠前の熊に出くわすことがあり、山城マニアにとってはなかなか厄介なのだ。

しかし、無策で山城巡りをするわけにもいかないし…。

そんな悩める山城マニアのための山城巡りの必需品が、熊よけ鈴「城めぐリン」だ。

山城巡りの必需品、熊よけ鈴「城めぐリン」(消音機能付) 城びとHPから引用
山城巡りの必需品、熊よけ鈴「城めぐリン」(消音機能付)
城びとHPから引用

熊が出そうな、あるいは過去に熊が出没した山城を巡る際は、この「城めぐリン」を鳴らしながら歩く。

「城めぐリン」の音は、遠くまでよく響くので、自分の存在を熊に知らしめるのにもってこいだ。

また、「城めぐリン」には消音機能が付いており、使用しない時は音を鳴らさないようにすることが可能だ。

さらに、いざという時の防災グッズとしてもオススメだ。

1つでマルチユースできる熊よけ鈴「城めぐリン」は、お城EXPO「プレミア前夜祭」で先行発売される。

いち早く熊よけ鈴「城めぐリン」をゲットしたい人は、お城EXPO「プレミア前夜祭」に急げ!

【<熊よけ鈴>城めぐリン 消音機能付】

・サイズ:φ35×H80
・価格 :2,420円(税込)

■[お城EXPO2019④ 初開催! お城EXPO「プレミア前夜祭」ってどんなイベント?] – 城びと
https://shirobito.jp/article/898

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099

城マニアのご厚意によって作成された「全国城もなかマップ 2019/12版」【連載:アキラの着目】

先日のニッポンニュースでは、石垣の焼印が付いたせんべいを紹介した(2019年11月09日ニッポンニュース「切込み接ぎか打込み接ぎ?石垣の焼印付き「お城せんべい」(岐阜県恵那市)【連載:アキラの着目】」)。

この石垣焼印せんべいのように、城にまつわる菓子や酒などが頻繁に名産として目にするようになったが、その中でも全国各地の城周辺で見受けられる菓子が「城もなか」だ。

その名の通り城を模ったもなかで、幼児からお年寄りまで幅広く食べられるため、お土産の需要や消費が高いのだ。

そうした全国各地にある「城もなか」を1つの地図で確認できれば、城好きの甘党に重宝されるとよんだのかわからないが、城マニア「城葱@令和元年 城納めは何処に。」さんのご厚意で「全国城もなかマップ 2019/12版」なるものが作成された。

「城葱@令和元年 城納めは何処に。」さんのTwitterから引用
「城葱@令和元年 城納めは何処に。」さんのTwitterから引用

城もなかは城周辺や城下町ならあってもおかしくはないし、まあ、そこそこはあるのだろうなとは思っていたが、こんなにざっと数十もの「城もなか」があるとは想像もしなかった。

こんなに日本全国で「城もなか」が存在し、製造・販売されているのだから、日本人は城好きであり、甘党であることも再認識させられた。

この網羅の仕方はハンパなく、よくぞここまでこのマップを作成されたものだと感心しきりだが、作成者当人の「城葱@令和元年 城納めは何処に。」さんは謙遜されているのか、「今回は、新発見の追加、廃業や連絡つかないお店のは非掲載としました。載ってないけど売ってるよ!ってのあったらまた教えて下さい。まだまだ制覇には程遠い…」とのコメントが。

完璧さを追求するその姿勢には頭が下がる思いだ。

また、城マニアでなくとも、もなか好きマニアでも堪らないマップであろう。

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099

切込み接ぎか打込み接ぎ?石垣の焼印付き「お城せんべい」(岐阜県恵那市)【連載:アキラの着目】

今回のFJ NEWS・ニッポンニュースで取り上げるのは、城下町のお土産屋で売られている「お城せんべい」だ。

どこの城下町なのかというと、岐阜県恵那市にある岩村城だ。

まずは、その岩村城の簡単な説明から。

日本で一番標高のある(海抜717m)城として有名な岩村城。

日本三大山城(岩村城の他に奈良県大和高取城584m、岡山県備中松山城430m)にも選ばれている、天然の峻険な地形を利用した要害堅固な山城だ。

現在は石垣しか現存していないのだが、この石垣も見どころ満載なのだ。

なぜならば、中世後期の野面積み、戦国期以後の切込み接ぎ(きりこみはぎ)、江戸期以後の打込み接ぎ(うちこみはぎ)の、計3種類の石垣を見ることができるからだ。

【参考】

野面積み 攻城団ブログから引用
野面積み
攻城団ブログから引用
切込み接ぎ(きりこみはぎ) 攻城団ブログから引用
切込み接ぎ(きりこみはぎ)
攻城団ブログから引用
打ち込み接ぎ(うちこみはぎ) 攻城団ブログから引用
打ち込み接ぎ(うちこみはぎ)
攻城団ブログから引用

ということで、とりあえず岩村城の説明はここまでで、いつできたのか、何というお殿様がいたのか、等々をもっと詳しく知りたい人は本を読むなり、インターネットで調べるなりしよう。

で、岩村城下町で売られている「お城せんべい」に話を戻すと、このせんべいの表面には岩村城の石垣をイメージした焼印が付けられている。

岩村城下町で売られている「お城せんべい」 chiex cafeから引用
岩村城下町で売られている「お城せんべい」
chiex cafeから引用

前述した3種類の石垣のうち、どの石垣なのかというと、石垣の焼印を見る限り、切込み接ぎか打込み接ぎかと思われる。

やはり世間の城についてのイメージは、「天守閣」(本来の呼び名:天守)があり、隙間なく積まれた石垣、すなわち切込み接ぎか打込み接ぎの石垣があるのが城なので、不特定多数が購入する土産物(この場合はせんべいだが)には、その世間のイメージに沿った切込み接ぎか打込み接ぎの焼印を付けたのかもしれない。

ちなみに、この「お城せんべい」を販売しているのは岩村城下町にある大黒屋という店。

岩村城周辺は前述したように高所なので、店は一軒もなく、土産は城下町で購入するように。

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099

備中松山城(日本100名城・岡山県高梁市)~FJ時事新聞おすすめ名城~【連載:アキラの着目】

今回のニッポンニュースで取り上げるのは、岡山県高梁市の臥牛山山頂(標高430m)にある、日本100名城で国指定重要文化財の備中松山城だ。

備中松山城は日本三大山城にも数えられ、また、最も高所にある現存天守の山城で、特に秋には雲海に浮かぶ幻想的なその姿から「天空の城」とも呼ばれている。
「天空の城」備中松山城

備中松山城の築城は、鎌倉時代に有漢郷(現高梁市有漢町)の地頭・秋庭重信が奥地の大松山に城を築いたのを起源とし、1683(天和三)年に水谷勝宗が3年の年月を費やし、現在の天守に修築した。
備中松山城

この地は、山陰と山陽の南北、さらに東西の主要街道も交差する要地であるため、戦国時代は絶えず激しい争奪戦が繰り広げられ、目まぐるしく城主の交代が繰り返されてきた歴史がある。

では早速、備中松山城に踏み入れてみよう。

登城坂の周囲は、高さ10m以上の巨大で切り立った岩壁が聳え立ち、その天然の岩盤を上手く融合させるように、その上に石垣を積んでいる。

この備中松山城の石垣は、本編とは無関係にもかかわらず、実は3年前のNHK大河ドラマ『真田丸』のOPシーンに使われたのだ。

筆者の推測なのだが、難攻不落の真田丸のイメージ形成に”難攻不落の名城”である備中松山城の石垣が最適だったから、わざわざOPに使われたのではあるまいか。

その堅固な石垣を抜けると、備中松山城の天守が顔を出す。
備中松山城 本丸

さらに歩みを進め、階段を登ると本丸になる。

真正面に建つ備中松山城の天守は小ぶりながらも、白い漆喰塗りの壁と黒い腰板のコントラストが映える威風堂々とした風格で、登城者を迎え入れてくれる。
備中松山城 天守

なお、本丸にはそこそこ有名な「猫城主」もいるので、猫好きならば、撫で撫でしてあげよう。
備中松山城本丸にいる猫

天守に登ると、どこにでもあるような、鉄筋コンクリートの”なんちゃって城”とは異なり、天井に大きな梁がある。
備中松山城天守天井の大きな梁

大抵の登城者は、天守に登った後はそのまま城を下りて帰ってしまうのだが、天守裏手に回ると、これまた国指定重要文化財の二重櫓があるので、しっかり堪能しよう。
国指定重要文化財の備中松山城二重櫓

筆者の場合は、可能な限り登城する際は大手(正門口)から入り、搦手(退却口)から出る、出るのが難しい場合は観るだけでも、というスタンスにしている。

今回の備中松山城は搦手を抜けてしまうと、さらに奥へ奥へと行ってしまい、帰られなくなってしまうので、搦手を確認するに留まった。
備中松山城 搦手

ちなみにその搦手付近から見上げると、先ほどの二重櫓を裏手から望めるので、搦手を観た際には忘れぬように。
備中松山城搦手側から観た二重櫓

さすが標高430mの高所にある備中松山城だけに、眼下に広がる景色は絶景だ。

マイカーやレンタカーで備中松山城に行く際は、城まちステーション(5合目)で駐車し、そこからシャトルバスでふいご峠(8合目)まで行くのが良いだろう。

ふいご峠からは約20分も歩けば、備中松山城本丸・天守に辿り着く。

【「天空の城」備中松山城 詳細】

・所在地:岡山県高梁市内山下1

・入館料:【大人】500円 【小中学生】200円 団体割引あり30人以上1割引 100人以上2割引
 ※以下に該当する方は入城料免除(土・日曜日・祝日および休業中に観覧する市内の小・中学生、65歳以上の市内在住民、障がい者手帳持参の人と介助者1人)
・入場時間:【4月~9月】9:00~17:30 【10月~3月】9:00~16:30
 ※12/29から1/3まで本丸への入城不可
・休日:12月29日~1月3日
・駐車場:城まちステーション(5合目)110台、ふいご峠(8合目)14台
・バリアフリー対応:AED
・TEL:0866-22-1487

※料金・時間等は令和元年10月18日現在のもの

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099

今ではありえない!続100名城・品川台場での仮面ライダー格闘シーン【連載:アキラの着目】

10/1(火)から毎週TOKYO MXにて再放送が開始された「仮面ライダー」。

先日のニッポンニュースでも取り上げたばかりだ(2019年09月11日ニッポンニュース「令和に昭和の初代・仮面ライダー復活!10/1(火)から毎週TOKYO MX再放送!!【連載:アキラの着目】」)。

筆者も録画をしかけて観たのだが、なんと本編以外にも気になるところが。

特撮ヒーローものに限らずなのだが、昔の映画・ドラマを観ていると、昔の東京の風景や流行等を見ることができ、なかなか興味深いのだ。

「仮面ライダー」もご多分に漏れず、ED曲が流れる格闘シーンのロケ地は、なんと今ではありえない続100名城・品川台場なのだ。

早速そのED曲が流れる格闘シーンを観てみよう。

最初の写真右側から、虎ノ門の霞が関ビル、浜松町の世界貿易センタービル、そして中央にいる仮面ライダーの背景には東京タワーを視認できる。

ちょうどこの初代・仮面ライダーが撮影された当時の東京は、高度経済成長時代といっても高層ビルはこれら霞が関ビルと世界貿易センタービルしか存在しなかったのだ。

だから逆にいうと、この2つのビルを確定でき、東京タワーとの位置関係もわかり、さらに撮影ロケ地の陸地が斜めに映っていることも決め手となって、ED曲の格闘シーンは現在の台場公園、すなわち品川台場で撮影されたことがわかるのだ。

ちなみに最初の写真と4枚目の写真は同じ場所だ。

昔と今で明らかに異なるのは、東京のビルの多さやレインボーブリッジの有無だろう。

当時のお台場は一般人が足を踏み入れるような場所では決してなく、貯木場だったり、ゴミ埋立地だったり、ただの空き地だったりしてたので、邪魔されずに撮影ができる絶好のロケ地だったことは想像に難くない。

現在では、品川台場こと台場公園は、前述の通り続100名城に選出された「城」であり史跡扱いだから、当時のような派手な格闘シーンやアクションシーンの撮影許可は容易に下りないことだろう。

過去の映画やドラマを観ると、面白い発見があるから、昔の映画・ドラマを追っかけるのを推奨したい。

■関連記事:
東京の様々な地名の由来 ~お台場(東京都港区)前編~【連載:アキラの着目】
東京の様々な地名の由来 ~お台場(東京都港区)後編~【連載:アキラの着目】

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099

畝状竪堀群が際立つ戦国期の山城・南山城、最後の現地説明会に城好き300人殺到!【連載:アキラの着目】

南山城跡 畝状竪堀群岡山県古代吉備文化財センターが調査している戦国期の山城・南山城跡(倉敷市真備町・船穂町)の現地説明会(最終日)が昨日8日に行われた。

受付の際に配布された南山城跡 現地説明会資料
受付の際に配布された南山城跡 現地説明会資料

当初、午前・午後の両部ともそれぞれ60名の参加定員だったが、最後に南山城を脳裏に焼き付けておきたいという城マニアの申込みが岡山県古代吉備文化財センターに殺到、急遽、300人にまで参加者を増やしたのだ。

南山城主郭での岡山県古代吉備文化財センターの方による説明
南山城主郭での岡山県古代吉備文化財センターの方による説明

なぜここまで城好きが南山城に殺到したのかというと、平成30年7月の西日本豪雨で決壊した小田川の付け替えによる治水工事に伴い、南山城跡は令和元年10月末の調査終了後に山ごと姿を消す運命にあるからだ。

南山城 腰郭
南山城 腰郭

それに、全面発掘によって明らかになった、敵の侵入を防ぐ多彩な防御施設群、とりわけ畝状竪堀群の際立っている点が、城好きのハートをしっかり鷲掴みにしたともいえる。

城のことに詳しくない人向けに説明すると、畝状竪堀群とは約50メートルに渡り、畝のように波を打っているかのごとく並ぶ複数の竪堀のことをいう。

二郭から見下ろした畝状竪堀群
二郭から見下ろした畝状竪堀群
南山城跡 畝状竪堀群
南山城跡 畝状竪堀群

南山城の北側は小田川、東側は急峻な地形で、防御力は万全だが、それらに比べ西側と南側は比較的なだらかな斜面であったり、近辺に切通道があることから、防御に難がある。

そこで、南側に畝状竪堀群を配し、敵の横移動に制限をつけるようにしたのだ。

横移動が困難ならば縦移動しかないから、竪堀をまっすぐ敵が登ってくるのは極々自然の成り行き。

その際、堀底を登るのか、それとも堀底でなく塁上を登るのかは防御をする側にとっては大きな問題ではない。

どちらであろうが、的を絞りやすく、敵の先頭から順番に殲滅させるのみだ。

平成31年1月25日(金)・26日(土)南山城跡 現地説明会で岡山県古代吉備文化財センターから配布された資料から引用
平成31年1月25日(金)・26日(土)南山城跡 現地説明会で岡山県古代吉備文化財センターから配布された資料から引用

決して南山城は大きくなく、むしろコンパクトな縄張りにもかかわらず、このような手の込んだ防御網が張り巡らされているから、消滅するのは非常に残念としかいいようがない。

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099

中世城郭・世田谷城のあった招き猫発祥の地・豪徳寺(東京都世田谷区)【連載:アキラの着目】

豪徳寺招福殿脇にある大小様々で数え切れぬほどの招き猫たち今回のニッポンニュースで取り上げるのは、知る人ぞ知る東京都世田谷区にある豪徳寺。

台東区・浅草今戸神社、新宿区落合南長崎・自性院と並び、「招き猫発祥の地」としても有名な寺だ。

1633年に現在のこの地・世田谷領が彦根藩の管轄となり、彦根藩2代当主・井伊直孝が井伊家の菩提寺としてこの寺の伽藍等を整備した。

豪徳寺という名の由来は、その井伊直孝の戒名「久昌院殿豪徳天英居士」の「豪徳」から拝借したとのこと。

江戸藩邸で暮らしていた井伊直孝がある日、鷹狩りの帰路、この付近を通りがかった際に、自分を招いているような1匹の猫を見かける。

井伊直孝がその猫の招きで門内に入るや否や、急な激しい雷雨となった。

この猫のおかげで、雷雨を回避でき、そのうえ和尚さんのありがたい法話も聴くこともでき、井伊直孝は大変喜んだとのこと。

その逸話が「招き猫発祥の地」として今日まで言い伝えられているのだ。

そんな微笑ましい逸話のある「招き猫発祥の地」豪徳寺だが、元々この地は、世田谷に本拠を置き、代々居を構えた奥州吉良氏によって築かれた世田谷城があった。

世田谷城の縄張り(敷地の範囲)は現在の豪徳寺と世田谷城址公園を含む辺りと推測され、世田谷城の空堀及び土塁の幾つかは現存している。

世田谷城の城郭構造(推定)
世田谷城の城郭構造(推定)

では早速、豪徳寺・世田谷城を散策してみよう。

豪徳寺の参道に入ってゆくと、向かって右側(参道東側)に世田谷城の土塁を観ることができる。

豪徳寺参道右側(参道東側)に現存する世田谷城の土塁
豪徳寺参道右側(参道東側)に現存する世田谷城の土塁

コンクリート塀からちょっと頭をのぞかせているので、誰でも視認できよう。

突き当たると右斜めに道が曲がるので、そこで振り返ると、世田谷城の城郭構造(推定)における「郭A(築城当時は「二の郭」もしくは「奥御所」とも)」を望める。

世田谷城「郭A(築城当時は「二の郭」もしくは「奥御所」)
世田谷城「郭A(築城当時は「二の郭」もしくは「奥御所」)

何もわからない人が見ると、ただの空き地にしか見えないが、所々に土塁を散見できる。

豪徳寺境内に足を踏み入れると、そこは世田谷城の「前郭」であったところで、進行方向左側に三重塔が姿を現す。

豪徳寺境内(世田谷城「前郭」)にある三重塔
豪徳寺境内(世田谷城「前郭」)にある三重塔

三重塔を越えた辺りに左側に行ける小径が現れるので、そこを歩くと招福殿や、その脇にある大小様々で数え切れぬほどの招き猫たちを観ることができる。
豪徳寺招福殿脇にある大小様々で数え切れぬほどの招き猫たち豪徳寺招福殿脇にある大小様々で数え切れぬほどの招き猫たち豪徳寺招福殿脇にある大小様々で数え切れぬほどの招き猫たち豪徳寺招福殿脇にある大小様々で数え切れぬほどの招き猫たち

豪徳寺招福殿脇にある大小様々で数え切れぬほどの招き猫たち
豪徳寺招福殿脇にある大小様々で数え切れぬほどの招き猫たち

豪徳寺境内の開けた場所には仏殿や社務所があり、ここでも招き猫が歓迎していた。

豪徳寺仏殿
豪徳寺仏殿
豪徳寺社務所
豪徳寺社務所前にある招き猫
豪徳寺社務所前にある招き猫

筆者の訪れた時間が夕方で閉館間際だったこともあって、社務所はすでに閉まっており、招き猫を購入できなかった。

あらためて次回にチャレンジして、招き猫をゲットしたい。

参拝も終え、豪徳寺境内を離れ、隣接する世田谷城址公園へ。

かなり整備され、当時の面影がないのではと期待していなかったが、実際に行ってみたら、郭や土塁、空堀が残っており、東京23区内にまだこれだけの城郭が残っていることに嬉しさを感じた。

世田谷城「郭F(南郭)」 現・世田谷城址公園
世田谷城「郭F(南郭)」
現・世田谷城址公園
世田谷城の空堀  現・世田谷城址公園世田谷城の空堀  現・世田谷城址公園
世田谷城の空堀  現・世田谷城址公園
世田谷城の空堀
現・世田谷城址公園

特に「郭F(南郭)」と空堀の高低差は想像以上にあり、中世城郭マニアにとっては十分なご馳走となろう。
世田谷城「郭F(南郭)」と空堀の高低差

世田谷城「郭F(南郭)」と空堀の高低差 現・世田谷城址公園
世田谷城「郭F(南郭)」と空堀の高低差
現・世田谷城址公園

世田谷区の閑静な住宅街にある一寺院に過ぎない豪徳寺なのだが、「招き猫発祥の地」という惹きが強いのか、海外からの訪問・参拝客もそこそこいたのには驚き。

やはり招き猫は日本のみならず世界で人気となりうる存在であることを認識した次第だ。

付け加えるとしたら、招き猫だけでなく、中世城郭・世田谷城の土塁・郭・空堀も併せて観ることを推奨したい。

【大谿山(だいけいざん)豪徳寺 詳細】

・所在地:〒154-0021 東京都世田谷区豪徳寺2-24-7
・アクセス:小田急線「豪徳寺」駅徒歩10分、東急世田谷線「宮の坂」駅徒歩5分
・宗派:曹洞宗
・文化財:彦根藩井伊家墓所(国の史跡)、井伊直弼墓(東京都指定史跡)、他多数
・お問合せ:03-3426-1437

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099

城好きでなくとも気になる(!?)城びとオリジナルマスキングテープ【連載:アキラの着目】

最近、若い女の子の間で流行っている物の1つにマスキングテープがある。

元々、マスキングテープはその名の通り、塗る際に塗料がつかぬようにマスクするためのテープ。

しかし、テープ・メーカーが本来の目的とは異なるマスキングテープの使用法を知ってからは、柄やデザインに趣向を凝らしたマスキングテープが続々と登場、益々、女子高生の手帳やノートに飾りやアクセントとして貼られるようになった。

そうした無味乾燥な手帳やノートを、かわいい柄やクールなデザインのマスキングテープで飾ることに影響されたのか、お城情報WEBメディア「城びと」(https://shirobito.jp/)が公式ショップサイトにて、城びとオリジナルのマスキングテープを販売することに。

気になるマスキングテープのデザインは、石垣(グレー)と石垣(ブルー)、城びと(イエロー)、城びと(パープル)の4種類。

城びとマスキングテープ 石垣(グレー) 城びとストアから引用
城びとマスキングテープ 石垣(グレー)
城びとストアから引用
城びとマスキングテープ 石垣(パープル) 城びとストアから引用
城びとマスキングテープ 石垣(パープル)
城びとストアから引用
城びとマスキングテープ 城びと(イエロー) 城びとストアから引用
城びとマスキングテープ 城びと(イエロー)
城びとストアから引用
城びとマスキングテープ 城びと(パープル) 城びとストアから引用
城びとマスキングテープ 城びと(パープル)
城びとストアから引用

お城の石垣をデザインした石垣(グレー)と石垣(ブルー)は、よく見るとマニアウケしそうな「矢穴」なども図柄に盛り込んでおり、石垣を積み重ねても楽しめたりできるマスキングテープだ。

城びとマスキングテープ 城壁(グレー)と石垣(グレー)を重ねて使用した場合 城びとストアから引用
城びとマスキングテープ 城壁(グレー)と石垣(グレー)を重ねて使用した場合
城びとストアから引用

この城びとオリジナルマスキングテープは、「城マニア王」のいなもとかおりさんとお城情報WEBメディア「城びと」のコラボによって製作された。

城びとオリジナルマスキングテープのアイコンバージョンは、イエローとパープルがあり、城びとの新しい仲間、鯱も登場だ。

城好きでなくとも、マスキングテープ・マニアであれば、つい買いたくなる一品だ。

【城びとオリジナルマスキングテープ 詳細】

・テープサイズ:各幅15㎜×5m
・種類:石垣(グレー)、石垣(ブルー)、城びと(イエロー)、城びと(パープル)
・価格:\454(税込・送料込)

■城びとマスキングテープ(石垣/城びと) ※宅配便での発送 | 城びとストア
https://shirobito.stores.jp/items/5d39957508382930618bcd79

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責任編集:拡輪 明-HS099