日本各地にある米味噌、麦味噌、豆味噌【連載:アキラの着目】

昔から我々日本人の食卓に欠かせない味噌。

古代中国の醤を根源とし、遣唐使により中国を経て伝来したとか、弥生時代からすで味噌が造られていたとか、様々な説がある味噌だが、いずれにしても、さらに日本の各地で独自の進化を遂げ、一口に味噌といっても、色や味、原材料、製法等が異なり、実にバラエティに富んでいる。

そこで今回のニッポンニュースでは日本各地にある味噌を取り上げてみた。

味噌蔵

日本各地の様々な味噌

北海道味噌(北海道 米味噌)

北海道味噌は、江戸時代から佐渡や新潟との交流が盛んだった影響で、佐渡味噌に近い赤色系味噌。

本州と同じ製法では良い味噌に仕上がらず、盛夏でも平均気温22℃にしかならない北海道の自然条件が、長期熟成や切返しを要すこととなり、すっきりとした芳香の温和な味の味噌となった。

津軽味噌(青森県米味噌)

津軽味噌は、津軽三年味噌に代表されるように長期間の熟成を要し、その間の酸敗防止のため、13%の高めな塩分濃度を設定している。

そのため、塩なれしており、独特のうま味が特徴の味噌だ。

秋田味噌(秋田県 米味噌)

秋田味噌は、地元・秋田の良質な米と大豆をふんだんに使用した、麹歩合の高い赤色の辛口味噌。

仙台味噌(宮城県 米味噌)

仙台味噌は、仙台藩初代藩主伊達政宗が仙台城下に設置した御塩噌蔵(おえんそぐら)という味噌醸造所で製造させた味噌に倣って、米麹と大豆で製造されている辛口の赤味噌だ。
ゆえに、仙台城下町(現・仙台市都心部)以外で製造された味噌でも、材料・製法が同じであれば、仙台味噌と呼んで良い。

風味高く、そのままでの食用も可能なため、別名「なめ味噌」ともいう。

会津味噌(福島県 米味噌)

会津味噌は、津軽味噌と並び、過酷な気候の会津盆地で長期間熟成された赤色辛口の米味噌だ。

江戸甘味噌(東京都 米味噌)

江戸甘味噌は、米麹をたっぷりと使い、塩分が少ない製法のため、甘みが強いのが特徴の味噌だ。

甲州味噌(=甲州調合味噌 山梨県 米味噌)

甲州味噌は、一言でいうと「調合味噌」だ。

狭く斜面の多い甲府盆地では稲作による米の収穫が多くなく、その米の不足分を麦で補ったことで、米と麦によってできたのが甲州味噌なのだ。

信州味噌(長野県 米味噌)

信州味噌は、その名の通り長野県(信州)を中心に生産されている淡色で辛口の味噌だ。

また、信州味噌は酸味のある芳香を放ち、コクのある味わいが特徴で、生産量日本一の味噌だ。

安養寺味噌(長野県 米味噌)

安養寺味噌は、信州味噌の原点といわれる味噌で、長野県佐久市安原に現存する安養寺でとれた大豆を使用し、丹精込めて熟成されたことから、この名が付いた。

信州味噌の原点であるだけに、鮮やかな辛口と色合い、香りを楽しめる味噌だ。

相白味噌(あいじろみそ 静岡県 白味噌 米味噌)

相白味噌は、静岡市等の駿河地方で生産されてきた淡色系の米味噌。

麹の比率が高いが、塩分量は少なく、甘味や麹の芳香が強いのが特徴だ。

八丁味噌(=三州味噌・三河味噌・赤味噌・名古屋味噌 愛知県 豆味噌)

八丁味噌は、米麹や麦麹を使用せずに大豆のみを使用し、長期熟成により製造された豆味噌のうち、愛知県岡崎市八帖町にて製造された味噌をいう。

濃い赤褐色と濃厚なうま味、渋みが特徴の味噌だ。

郡上の地味噌(岐阜県 米味噌)

郡上の地味噌は、国産大豆の使用により、ゴロゴロした大粒感と大豆本来の香り、さらにまろやかな甘みを感じられる味噌だ。

濃い味の郡上の地味噌は、肉料理の味付けにもピッタリ。

越後味噌(新潟県 米味噌)

越後味噌の中でも、特に上越地方で製造された越後味噌は、精白した丸米を使っているため、米粒が味噌の中に浮いたように見えるのが特徴として挙げられる。

そのため、浮麹味噌ともいう。

佐渡味噌(新潟県 米味噌)

佐渡味噌は、文字通り佐渡島で作られた、塩なれによる深いコクが特徴の赤色辛口味噌で、同じ新潟県内の越後味噌とは一線を画す味噌だ。

越中味噌(富山県 米味噌)

越中味噌は、米麹をふんだんに使った、甘い香りが特徴の味噌だ。

加賀味噌(石川県 米味噌)

加賀味噌は、加賀前田藩の軍糧用・貯蔵用の味噌を発祥とし、長期間の熟成により、塩分が高めで辛口なのと、赤色が特徴の味噌だ。

京味噌(=西京味噌・関西白味噌 京都府)米味噌)

京味噌は「西京味噌」の名でもよく知られ、米麹の高配合により、強い甘みが特徴。

白い味噌にするために、精米度の高い原料米と、脱皮した大豆を蒸さずに煮る製法を採っている。

金山寺味噌(和歌山県 その他の味噌

金山寺味噌は「径山寺味噌(きんざんじ味噌)」とも呼ばれる「なめ味噌」の一種で、和歌山県、千葉県、静岡県等で生産されており、和歌山県推薦優良土産品、千葉県でも特産品、推奨土産品として扱われている味噌だ。

府中味噌(=府中白味噌 広島県 白味噌 米味噌)

府中味噌は広島県の米味噌で、関西白味噌、讃岐味噌と並ぶ、白色甘味噌の代表格の味噌だ。

府中味噌の特徴は、温暖な気候風土、清らかな水、豊かな四季の恵みを受け育まれた良質米と、脱皮した大豆を使用し、じっくりと時間をかけた純正天然醸造により、きめ細かく透き通るような白色と、まろやかな風味が挙げられる。

讃岐味噌(香川県 白味噌 米味噌)

讃岐味噌は、香川県(旧・讃岐国)で製造されている、関西白味噌、府中味噌と並ぶ白色甘味噌の代表格の味噌。

濃厚な甘みとふくよかな味わいに定評のある讃岐味噌は、主に調理用味噌として使用されている。

御膳味噌(徳島県 米味噌)

御膳味噌は、蜂須賀公の御膳に供されたことに由来している、徳島県産の赤色甘口味噌。

高い割合の米麹により、芳醇な味わいが特徴の味噌だ。

瀬戸内麦味噌(広島県・山口県・愛媛県 麦味噌)

米味噌圏と麦味噌圏が交差する、広島県・山口県・愛媛県の瀬戸内海側周辺は、厳選された大豆、麦、食塩、全てにおいて安全な原料を入手しやすい地域。

その原料を使用した瀬戸内芳麦味噌は、無添加で麦独特の香りと、サラッとした甘み、深いコクが特徴だ。

伊予味噌(愛媛県 麦味噌)

甘口麦味噌の代表格の伊予味噌は、米味噌にはない麦麹独特の香り、麦の繊維質、コク、旨味が豊富で、砂糖等の甘味料を一切加えない自然の甘さが特徴。

塩分控え目で、現代のヘルシー志向にマッチしている味噌ともいえる。

九州麦味噌(麦味噌)

九州麦味噌は、甘口のラインナップが豊富で、淡色、もしくは濃くても淡赤色までなのが特徴だ。

島原味噌(長崎県 麦味噌)

麦麹を使用した島原味噌は、甘くまろやかな風味の白味噌で、島原の食卓には欠かすことができない存在。

おかずや酒のつまみとしても重宝する味噌だ。

薩摩味噌(麦味噌)

薩摩味噌は、麦麹を使った甘口の麦味噌で、芳醇な麦の香りが特徴。

大麦2、大豆1の割合で製造されており、淡色の味噌だ。

蘇鉄味噌(=なり味噌 鹿児島県奄美大島・沖縄県粟国島 ソテツの実・玄米・大豆の味噌)

蘇鉄味噌は、鹿児島県奄美群島や沖縄県の粟国島にて、ソテツの実と玄米と大豆を原料に製造された味噌だ。

原料比率により、蘇鉄味噌はさらに調味料用味噌と、食用のなめ味噌に分類される。

それぞれの気候・風土に根ざした各地の味噌

場所や環境が異なれば、当然造られる味噌にも影響が及ぶのはいうまでもない。

暑くない地域ならば、醸造が長期間に渡り、それが他地域の味噌とは異なる味噌が出来上がるし、原材料の充足・不足により、米味噌になったり、甲州味噌のような調合味噌になったりするのだ。

味噌

それぞれの地域の気候や風土が、その土地オリジナルの味噌を生んでいるともいえよう。

たかが味噌汁でも、いつもとは異なる味噌を使うことで、食欲が湧いたり、見た目が変わって食卓が楽しくなるかもしれない。

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099