アイドル曲にハマるアマチュアのロック・ギタリストたち【連載:アキラの着目】

この約10年間においてYouTubeでやたらと目にするのが、自分の得意とする楽器で、気になる曲や好きなアーティストの曲を”完コピ”(「完全コピー」の略)する「~を弾いてみた」動画だ。

FJ時事新聞ニッポンニュースでもこれまでにこの「~を弾いてみた」動画を取り上げてきた(2018年01月03日「『◯◯◯を弾いてみた!』を取り上げてみた!」2018年05月13日「『◯◯◯を弾いてみた』を取り上げてみた ~Part2~」)。

こうした”完コピ”するアマチュアの人たちは、ピアノ演奏ならクラシックの曲、エレキギターならロックというように、概ね演奏する楽器で演奏曲が決まっていたようなところがあった。

しかし、いつの頃からか、楽器のイメージとはかけ離れたジャンルの曲を”完コピ”するのも多く目につくようになり、エレクトーンでアニメ主題歌や、エレキギターで特撮ヒーロー主題歌を演奏する人たちが現れた。

今回はそうした中でも、おそらくロックバンドのアマチュア・ギタリストであろう人たちがアイドル曲にハマり、エレキギターで演奏している動画を3つ取り上げてみた。

アイドル曲とはいっても曲調がロックだったり、完成度の高いノリノリなサウンドの曲もあるから、聴く側も結構違和感なく、曲そのものをロックみたいに楽しめるはずだ。

エレキギター

アマチュアのロック・ギタリストが演奏するJuice=Juice(ジュース=ジュース)『五月雨美女がさ乱れる(さみだれびじょがさみだれる)』

まず最初の、アイドル曲にハマったアマチュアのロック・ギタリストがエレキギターでジャカジャカ弾いている曲が、先日も取り上げた、世界で人気の女性アイドルグループ・Juice=Juice(ジュース=ジュース)『五月雨美女がさ乱れる(さみだれびじょがさみだれる)』だ。

『五月雨美女がさ乱れる』は、特にギュンギュンうなるイントロ部分からして一般的なアイドル曲とは思えず、曲全体を通して聴いても、これはどこかの1アーティストが歌っている曲にしか聴こえないほどの完成度といえる。

この『五月雨美女がさ乱れる』をあえて選び、エレキギターで弾くこの青年の右傍らには、少なく見ても他にまだ2つのエレキギターがあるのを確認できる。

エレキギターをこよなく愛する青年が弾く曲が、バリバリのロックではなく、バリバリのロック調のアイドル曲というのが興味深い。

アマチュアのロック・ギタリストが演奏するANGERME(アンジュルム)の『マナーモード』

次に紹介するアマチュアのロック・ギタリストによるアイドル曲の演奏は、やはり海外で人気のある女性アイドルグループ・ANGERME(アンジュルム)の『マナーモード』だ。

この『マナーモード』、既にどこかで聴いたことがあるような耳に馴染みやすいメロディラインの曲で、エレキギターの演奏でさらに気分が高揚してくる。

サビ部分や、3分ちょうどからの間奏では、指が忙しく弦を弾き、いわゆるアイドル、アイドルした曲とは無縁のメロディ展開だ。

その後また、ANGERMEメンバーの伸びのある声とエレキサウンドがシンクロしてゆく。

アマチュアのロック・ギタリストが演奏するBerryz工房『雄叫びボーイ WAO!』

最後に紹介するアマチュアのロック・ギタリストによるアイドル曲の演奏は、2015年3月3日をもって解散したBerryz工房『雄叫びボーイ WAO!』だ。

この『雄叫びボーイ WAO!』という曲は、「コブシ」みたいな歌い回しがある力強い曲であるがゆえに、ガンガンにエレキギターで弾くことに耐えうるような曲でもあるかと。

そもそもアイドルが「コブシ」を回すような歌い方をすることが稀だ(モーニング娘。「シャボン玉」はその代表例)。

そういう歌唱力だけではないパワフルな歌い方を必要とする曲は、まさにアイドル曲というよりもロック寄りの曲に感じられ、アマチュアのロック・ギタリストたちが演奏対象として、このBerryz工房『雄叫びボーイ WAO!』を選んだのではないか、という見方もできよう。

最後に

従来だと、「いい歳こいて、アイドル曲を聴くなんて変だ」という風潮があったが(現在もある?)、結構クリエイティブな分野や領域(デザイン事務所・WEB製作)で勤務する人たちの間では、音楽ジャンルに関係なく、「良い曲は良い」と自由なスタンスで聴いている傾向がある。

そうした人たちは、新たに何かを創り出す際に、世の中すべての物に対し門戸を閉ざすのではなく、むしろあえて開き、その中から創作ヒントを見つけるなり、インスパイアされるなり、といったことが当たり前となっているのだ。

それが音楽を聴く際にも当てはまり、「ロックミュージシャンの曲ではないけれど、アイドルの曲も聴いてみようか、あれ、聴いてみたら意外とこの曲スゲーじゃん!」ということもあったりするのだろう。

今回紹介したアマチュアのロック・ギタリストの人たちも、このような垣根を自分の中で置かない人たちなのではと思った次第だ。

FJ時事新聞
責任編集:拡輪 明-HS099