騒音なしも賛否両論、サイレント盆踊り【連載:アキラの着目】

2019年08月18日

盆踊りYahoo!ニュースでも取り上げられたため、すでにご存知の人もいるかと思うが、8月10日夜、金沢市のタテマチストリートにて、音が流れないユニークな盆踊り「サイレント盆ダンス」が開催された。

配られたイヤホン付携帯ラジオを装着した「サイレント盆ダンス」参加者は、そこから流れる音楽を聴いて踊るので、会場には一切音が流れないのだ。

この「サイレント盆ダンス」のような無音の盆踊りを試みているところは他にもある。

愛知県東海市大田町で開催される「ザ・おおた・ジャンプフェスティバル」での「無音盆踊り(むおんぼんおどり)」がそうだ。

2009年から続いている「無音盆踊り(むおんぼんおどり)」は、やはり盆踊り参加者(踊り手)がイヤホン付携帯ラジオを持参し、主催者の発信したFM電波に乗って送られてきた曲を、参加者が周波数を合わせてキャッチし、イヤホンで聴きながら踊るのは「サイレント盆ダンス」と変わらない。

ちなみに、「ザ・おおた・ジャンプフェスティバル」が「無音盆踊り」を導入した理由は、騒音対策というよりも集客目的であったとのことで、珍しさをウリに盆踊りへの参加者を増やしたいということだったようだ。

しかし、愛知県東海市大田町の「無音盆踊り」の、集客目的での導入理由はレアなケースであり、音を出さぬ類の盆踊りは騒音対策として導入されるケースのほうが多いのだ。
盆踊り

本来、盆踊りの風景は視覚も聴覚も含め、「真夏の風物詩」のはず。

なので、先人たちの多くは、特に盆踊りの太鼓の音や曲が聴こえてきても「うるさい!」とは怒らなかったと思われるのだが、いつからこうした季節感のある盆踊りの音さえも疎まがられるようになったのだろうか。

この背景には、やはり近年のサイレントブームが関係しているようだ。

戦後高度経済成長期を経て、音に対してセンシティブになったきっかけは、ピアノ騒音殺人事件だろう。

隣近所から聴こえてくるピアノの音がうるさいというだけで、隣人を殺してしまった凶悪事件の影響で、なるべく音を出さぬよう慎もう、という流れに世の中がなってしまったのだ。

ピアノについて言えば、電子ピアノが普及し、昔に比べれば住宅地でのピアノの音は激減したと予想され、また、ピアノだけでなくバイオリンなども、もっと言えば、自動車の走行音や家電の音もテクノロジーの発展に伴い、サイレント化が進むようになった。

こうしたブームや傾向が、ついに盆踊りの領域にまで達し、騒音問題等に発展することがない次世代盆踊りとして「サイレント盆ダンス」は注目を集め、全国的に広がりつつあるのだ。

「サイレント盆踊り」、「サイレント盆ダンス」、「無音盆踊り」など名称にばらつきがあれど、外部には踊りの楽曲は聴こえず、踊っている人の姿だけが見えることになる、この手の盆踊りについては賛否両論が存在する。

「うるさくなくて快適だ」という人もいれば、傍から見た光景が「”謎の儀式”のようで不気味だ」という人もいるし、「うるさいと言うクレーマーのせいで、どんどん風物詩が奪われていく」という懸念を示す人もいる。

一概にどちらが正解なのかは一言ではいえず、それというのも、そこの住民の気質や年齢層、住居と盆踊り会場との距離、等々、様々な要素によって見解が変わるからだ。

筆者個人の意見としては、盆踊りをうるさいというのは、懐が狭いように思えてしまう。

季節ごとの音(鳴き声含む)があることは、実は素晴らしいことなのに、それを自ら拒絶してしまうのはもったいないことだ。
盆踊り

■Silent it
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